エルダー2023年3月号
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×−代替休暇は、1日または半日単位のいずれなお、たとえ代替休暇を付与したとしても、割増賃金の種類と1カ月あたりの時間外労働の把握代替休暇制度について2労働基準法では、「時間外労働」、「休日労働」、「深夜労働」を割増賃金の対象としています。時間外労働の割増賃金率は図表5の通りです。時間外労働の割増率が、1カ月あたりの時間外労働時間数に応じて変動することになります。そのため、「1カ月」あたりの「時間外労働」の時間数を正確に把握する必要があります。まず、「1カ月」の範囲については、企業ごとに就業規則で定めることが可能です。賃金締切日と合致させておくことが、賃金計算における煩雑さを回避するためには適切と考えられます。また、「時間外労働」と「休日労働」は異なりますので、1カ月あたり60時間の計算においては合算せず、この2種類を明確に区別して管理する必要があります。ポイントは、休日について、「法定休日」と「所定休日」を区別しておくことです。法定休日における労働は、時間外労働ではなく、休日労働になりますので、時間外労働には合算することにはなりません。一方、所定休日における労働時間は、1週間40時間を超える範囲において時間外労働になるため、時間外労働として合算することになります。週休二日制を採用している企業においては、いずれの休日を法定休日とするのか明確にしておく必要があります。法定休日を定めていない場合は、行政解釈において日曜日を週の開始日とみて降順に位置する土曜日が法定休日となるとされています。3割増賃金率の引上げと同時に導入されたのが「代替休暇」制度です。代替休暇とは、1カ月60時間を超える時間外労働により生じた割増賃金の増加部分に相当する休暇を付与することができるとする制度です。導入するにあたっては、就業規則の規定および労使協定の締結が必要となります。一般的な代替休暇付与の換算率等の計算方法は図表6の通りです。60時間を超えた時間分のすべてが代替休暇の対象となるわけではない点には留意が必要です。かで付与しなければなりませんので、換算率に基づき計算した結果が、1日または半日に満たない場合、そのままでは代替休暇を付与することができません。このようなときには、時間単位の有給休暇と合わせて取得させるか、有給休暇とは別の特別休暇(ただし、通常の賃金が発生する休暇とする必要がある)を付与して、1日または半日の単位で取得できるようにする必要があります。代替休暇の付与は、時間外労働が60時間を超えた月の末日の翌日から2カ月以内とされています。これにより代替されるのは、割増賃金の増加部分のみであるため、通常の割増賃金として25%の割増率による賃金の支給は必要になります。49エルダー図表5 割増賃金率一覧図表6 代替休暇換算率の一例労働時間の種別時間外労働(月60時間まで)25%以上時間外労働(月60時間超)深夜労働休日労働時間外(月60時間まで)かつ深夜労働時間外(月60時間超)かつ深夜労働休日労働かつ深夜労働割増賃金率50%以上25%以上35%以上50%以上(25%+25%)75%以上(50%+25%)60%以上(35%+25%)代替休暇時間数=(1カ月の時間外労働時間数−60)換算率換算率=代替休暇取得しないときの割増賃金率代替休暇取得時に支払う割増賃金率(通常は、「50%−25%=25%」となる。)例えば、時間外労働時間数が80時間であった月の場合、{(80時間−60時間)=20時間}×25%(換算率)=5時間知っておきたい労働法AA&&Q

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