エルダー2023年3月号
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るのが実情です。次に、正社員・非正規社員の実態について、雇用状況や処遇に関する統計から把握していきたいと思います※1。雇用状況については、厚生労働省のホームページの「非正規雇用の現状と課題」※2という資料に基づきみていきます。正社員と非正規社員数の年別推移は、1984(昭和59)年は全労働者3936万人のうち、非正規社員は604万人(構成比15・3%)となっています。全労働者が5000万人を超えた2009(平成社員は1727万人(33・7%)、直近の統計2021(令和3)年には全労働者5662万人のうち非正規社員は2075万人(と推移し、非正規社員は増加傾向にあります。一方、それぞれの年の正社員数をみると1984年は3333万人、2009年は3395万人、2021年は3587万人と近年増加傾向にあります。非正規社員を年齢階級別にみると、2021年の非正規社員のうち45歳以上が1253万人(60・4%)、65歳以上の推移は、2009年には65歳以上の非正規社員が158万人(9・1%)に対して、2021年には393万人(18・9%)と実数・構成比ともに倍以上となるなど、65歳以上の割合が高まっています。また、非正規社員のうち正社員として働く機会がなく非正規社員として働いている者の割合は、2013年で342万人(19・2%)に対し、2021年には216万人(10・7%)と減少傾向にあります。処遇については、厚生労働省が公表している「令和3年賃金構造基本統計調査 に掲載されている雇用形態・性別の賃金格差で傾向がつかめます。調査対象日における対象者平均の最高水準は、男性正社員は428万6000円に対し非正規社員は274万7000円、女性正社員305万6000円に対し非正規社員は200万2000円であり、男女とも7%)に正社員に比べ非正規社員の賃金は65%程度にとどまります。また、同じく厚生労働省の「令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況」のうち、現在の会社における各種制度等の適用状況をみると、退職金制度は正社員77・7%に対し非正規社員13・4%、賞与支給制度は正社員施設等の利用は正社員55・8%に対し非正規社員25・3%の適用と、正社員に適用されても非正規社員は適用外の制度も多くあります。用状況・処遇については、次のようにまとめることができます。・全労働者が増加するなか、正社員・非正規社・正社員として働く機会がなく、非正規社員と結果の概況」・正社員と非正規社員の処遇上の差は、賃金の入による、同一企業・団体における正社員と非正規社員との間の不合理な待遇差の解消を目ざすパートタイム・有期雇用労働法が2021年4月1日から全面施行されています。そもそもの定義からして複雑な正社員・非正規社員ですが、本稿が理解の一助となれば幸いです。これらの内容から、正社員・非正規社員の雇員ともに増加傾向が続いてきており、非正規社員は65歳以上の割合が高まっている。して働いている者の割合は10%程度。額や制度面でも明らかに確認できる。こうした状況のなか、同一労働同一賃金の導次回は「ハラスメント」について解説します。統計から把握できる雇用状況・処遇53エルダー86・8%に対し非正規社員35・6%、福利厚生36・21)年には全労働者5124万人のうち非正規※1  統計上、正規雇用・正職員などで表記されているものは本稿では正社員、非正規雇用・正社員以外の労働者などで表記されているものは非正規社員と表記している※2 http://www.mhlw.go.jp/content/001041163.pdf■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典

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