エルダー2023年3月号
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撮影/中岡泰博)働き続けてきたミドル・シニアは世の中に必要なスキルを必ず身につけているく。転職活動はスタートが大事です。50代後半〜60代での転職を見すえるのであれば、少なくとも40代から始めておくべきです。55歳になって急に始めても遅すぎます。黒田 例えば「転職しても1000万円はもらえるはずだ」と思っている人には、「それだけ自分のスキルに自信があるのなら、1社100万円の業務委託契約を10社と結ぶプランを1回考えてみてください」と話しています。企業も1人を1000万円で丸抱えするより、リスクが少なくてすむし、本人もリスク分散につながります。こういう選択肢を示すと、「独立・起業なんて恐ろしいことは考えられない」という人がほとんどです。しかし、自分を1000万円で売れるというのであれば、それだけの市場価値があるということです。プランを描いてみることで、いざというときにその選択肢もあり得ると思えますし、転職活動も変わってきます。先ほどいった採用側の視点や考え方も理解できますし、転職の売り込み方も変わってくるでしょう。黒田 いえるでしょう。今後どうしたいかは人それぞれですし、あと何年働くつもりなのかによっても違います。60歳まで働くのか、あるいは70歳まで働くのか、その間どのように働きたいのか、あるいはどれぐらい稼ぎたいのかによって働き方も変わります。例えば、いま50歳の人が20年間働く場合、10年後、20年後にどんな変化が起こるのかを自分で予測し、そのときに手持ちのスキルがいくらで売れるのか、そもそも買い手がつくのかを考える。テクノロジーの進化で産業やビジネスがどう変わっていくのかを見すえ、自分ができそうなことは何か、足りなければいまから新しいスキルを身につけるなど、自分で考えることが大切です。大事なのは自分が経営者だという認識を持会社に自分を売っている点では一緒とつことです。「株式会社自分」の経営者として、売れるスキルをどうやって身につけていくかを考えるべきでしょう。黒田 あれば、世の中に必要とされるスキルを必ずお持ちだと思います。転職にかぎらず、自分のスキルと能力をどのように社会に活かしていくかを考えることが何よりも大切です。何のために生きているのかを考え、あと何年働いて何を残していきたいかをしっかりと決めること。ですが、それは副次的なものにすぎません。自分の人生と向き合い、残りの貴重な仕事人生をどう使うかを考えて決めてほしいと思います。(聞き手・文/溝上憲文ミドル・シニア期まで働いてきた人で人間はいつか死にます。役職や報酬も大事―活動初期の人たちにどんな支援やアドバイスをしていますか。―自分の市場価値を考える作業は、転職志望者にかぎらず、働いているミドル・シニアが今後の職業人生を考えるうえでも重要な視点ですね。とっての働きがいや生きがいを見つけることでもありますね。―雇われているという意識を捨て、自分に2023.34 ルーセントドアーズ株式会社 代表取締役黒田真行さん

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