エルダー2023年3月号
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自分らしいキャリアのつくり方私は、2000(平成12)年に慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授に就任し、藤沢キャンパスのキャリア・リソース・ラボラトリーを拠点として、自律的キャリア形成の研究を行ってきました。数多くのインタビューや大規模なアンケート調査を実施し、数値的な多変量解析※1を行い、そこからわかってきたことがいろいろあります。本日はそうした話を織り込みながら、自分らしいキャリアのつくり方についてお話ししたいと思います。をめぐる環境についてふり返ると、1997年の山一證券株式会社の破綻にかかわる出来事が思い出されます。1990年代後半あたりにいけない」というものに変化してきています。2000年から22年間にわたってここまで研究を重ねてきて、この変化をいま、あらためて実感しています。せなキャリア〟と〝不幸なキャリア〟はあります。その評価軸は自分のなかにありますから、自分の評価軸に照らして、自分が満足できるキャリア、つまり「自分らしいキャリア」をどうすれば実現できるのでしょうか。つの要件があると私は考えています。自分らしいキャリアに導いてくれるのです。比キャリアに勝ち負けはありません。ただ〝幸自分らしいキャリアをつくるために、次の三一つは、「目標より習慣」です。よい習慣が、 高た橋は俊しん介す「生涯現役社会の実現に向けた自律的キャリア形成」慶應義塾大学SFC研究所は、バブル崩壊の後遺症から、日本の雇用環境が大きく変わっていくことを示唆する出来事がいくつか起こりました。さらに、デジタル社会の展開などさまざまな環境変化を背景に、キャリア形成をめぐる環境変化の速度がアップしているように思います。社会では高齢化が進みながら、そうした環境変化が速まっていくなかで、キャリア形成に対する考え方も、かなり変化してきているという印象も持っています。キャリアというのは、以前は「自分に向いている仕事、あるいは会社にどこかで出会い、試行錯誤があってもそこでまっとうする」というものでしたが、現在は「生涯を通じて変化する環境に自分が適応し続ける」、あるいは「それに対して自分が適応するために学び直したり、チャレンジしたりすることを生涯続けなくては上席所員  かけしゅ   7社会・環境の変化に合わせて変わる「キャリア」の価値観令和4年度生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム幸せなキャリアをつくるための三つの要件とは基調講演特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム〈東京会場〉エルダー21世紀に入る前後からの日本のキャリア形成※1 多変量解析……さまざまな分析方法を用いて多数のデータから相互関連を分析する方法11月1日

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