エルダー2023年4月号
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はじめに制度導入前の準備(1)副業ルールの策定現状において副業を原則禁止としている企業では、まず「許可制」とし、希望する労働者に、その内容などを申請させ、認めるか否かを判断することから始める例が多いと思われます。許可制のもとで、副業の諾■否■を判断するため、副業を希望する者を通して以下のような情報を収集する必要があります。①副業先の事業内容②副業先で労働者が従事する業務内容③労働時間通算の対象となるか否かの確認(2)就業規則の改定副業に関する就業規則の規定を整備する際は、厚生労働省のモデル就業規則(令和4年11田■代■英■治■■■■株式会社田代コンサルティング社会保険労務士厚生労働省は、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の企業向けリーフレットのなかで「労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であるとされていることから、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが適当。また、労務管理を適切に行うためには、届出制など副業の有無や内容を確認するための仕組みを設けておくことが望ましい」との基本的な考え方を示し、企業に対し、副業・兼業の制度導入について前向きな取組みを要請しています。本稿では、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」※(以下「ガイドライン」)を基に、副業制度(兼業を含む)導入時の労務管理上のポイントを解説します。月版)(図表1)が参考になります。同モデルでは、第70条第1項で副業を認めるものの、第2項で一定の制約を付しています。これを参考に、労使で十分に検討を加え、自社に合ったものにする必要があります。なお、就業規則の改定作業を終えたら、管轄の労働基準監督署に届け出るとともに、改定後の就業規則に、副業制度の運用要領を添付し、社内に周知します。労働者が副業を行う際に許可などの手続きを求め、これへの違反を懲戒事由としている場合は、形式的に就業規則の規定に抵触したとしても、職場秩序に影響せず、使用者に対する労務提供に支障が生じない程度・態様のものは、禁止違反に当たらないとし、懲戒処分を認めていません。このため、労働者の副業が形式的に就業規則の規定に抵触する場合であっても、懲戒処分なお、裁判例においては、就業規則において特集170歳就業時代の副業を考える11※https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.htmlエルダー解 説解 説解 説解 説解 説副業制度導入時の労務管理上の留意点

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