エルダー2023年4月号
19/68

個別最適化した学びのサポートを実現ジメント職に就く際などにも、講師として学んだことが活きるのではないかと期待している。「社内副業」では、現在の所属のまま、所定労働時間の一部を使い、他部署の業務やプロジェクトにたずさわることができる。実際に行われた社内副業の中心になっているのは「リブネスタウン事業」。大和ハウス工業が昭和40~を、持続可能な街として再構築していこうという事業で、同社としても力を入れている分野だ。同事業にたずさわりたいと希望する社員を募集し、社内副業として6人の社員が参画。うち1人は、支社の集合住宅事業を統括している50代の事業部長だ。本業では、何十人もの部下を抱え、新しい集合住宅建築を地域の顧客に提案する業務を統括している。その事業部長が自ら手をあげて、古くなった団地をめぐる問題、住人の高齢化にともない発生する社会的課題の解決や街の再生に向け、アイデアの創出に取り組んでいる。そのほか、本社のコンプライアンス推進部でも社内副業を実施しており、主に現場での業務に従事している社員9人が集まり、各エリアでのコンプライアンス推進組織の立ち上げなどを行っている。同社にとって、「現場でいかにコンプライアンスを徹底するか」は、大きな課題。副業を経験した社員には、そこで学んだことなどを現場に持ち帰り、現場の改善につなげてもらいたい考えだ。同社は2023年度以降も、越境キャリア支援制度のメニューをさらに充実させ、社員のチャレンジを積極的に支援していく方針だ。「越境体験をルール化するということはありませんが、社外副業でも社内ローテーションでもよいので、マネージャーになるまでに、だれもが複線的なキャリアを積んでいる状態になってほしいと思っています」と、菊岡部長は語る。菊岡部長によれば、越境キャリア支援制度は社員の学びをサポートする取組みの一環で、「まだまだ学びの環境は十分ではない」との認識だ。個人がそれぞれのキャリアをしっかりと描けるようにするためには、個人の経験や学びの履歴を管理し、見える化する仕組みの構築が必要との考えで、ラーニングマネジメントシステム(LMS)など、個別最適化した学びを社員に提供する仕組みの導入を計画している。「将来的には、『あなたが思い描く夢を実現するためには、こういう経験が必要です』とか、『あなたにはこういうスキルをプラスで学ぶ必要があります』とか、会社からヒントを与えられるような仕組みも構築していきたいです」と話す。ニア層についても同様だ。2022年度から人事制度が大きく変わったことにともない、60歳を迎える社員に向けて実施している「ライフデザイン研修」の内容も大幅に変更したが、ここでもさらなる活躍に向けた「学び」をうながしている。「研修は20年ほど前から実施しており、もともとは老後のお金や健康をテーマにしたものでしたが、今回からは『60歳以降も変わり続けなければいけません』、『変わり続ける、学び続ける覚悟はありますか』と呼びかける内容に見直しました」と、菊岡部長。研修では、越境キャリア支援制度の活用もすすめているという。ジング制度について、現場の第一線で働く技術者に対しては、70歳の上限も撤廃する方針だ。本人の希望があれば、週5日勤務も可能にする。文字通り「生涯現役」で働くことができる環境が整いつつあるなかで、シニアになっても学びが必要となってきている。ても「完走する力」をつけてほしい。これが社員に抱く、同社の強い思いだ。社員の学びを積極的に進めていく方針は、シ同社は2023年度から、アクティブ・エイ学び続け、変わり続けることで、70歳を超え1750年代に開発した郊外型住宅団地(ネオポリス)60歳以降も「変わり続ける覚悟を」

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る