エルダー2023年4月号
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■■■■■■■■■「副業で行っている仕事は、自分がやりたいと思っていた職務そのもので、とても貴重な経験をさせてもらっています。副業と本業に相乗効果が生まれ、相談者の対応、情報提供、アドバイスに活かされています」青木さんは、副業を月18時間と決めており、平日に1時間ほど本業を離れて定例ミーティングに出席しているほか、土曜・日曜日を利用して分担された作業などを行っている。歴史と伝統を持つライオンに対し、副業先はスタートアップ企業。企業文化だけではなく、仕事の進め方も異なり、参考になることも刺激になることも多いそうだ。「本業でつちかった経験やノウハウを副業先で活かし、副業先での経験を本業にも還元するよい循環が生まれています」と充実ぶりを語り、現在の副業を今後も継続していきたいと考えている。「50・60代は、自分の価値観や強みを活かして、視野を広げ続けていくことが大事。そういう意味では、副業というのはよい材料だと思います」と話す人材開発グループの稲■原■隆■二■さんは、副業がキャリアデザインに本当に役立つのか、実験的な心づもりで副業に挑戦したという。「プロフェッショナル人材事業」に登録し、2021年10~12月、比較的小規模の建設会社で副業を行った。会社のビジョンやミッションの策定のほか、人材育成を通して会社を活性化するにはどうしたらよいかなど、社長の考えを言語化し、整理すること3カ月。コロナ禍もあり週1回、1時間の定例ミーティングはすべてオンラインであったが、自分の経験に基づいて形としてアウトプットでき、副業先の社員を巻き込んでプロジェクトを展開したことは、副業先の人材育成にもつながったのではないかと手応えを感じている。「副業は自分自身の経験を反■芻■し、勉強し直すよい機会になりました。一番体感できたのは自己効力感です。副業を通して、社外でも『私にもできる』、『役に立てる』ことに気づけました。自分がたずさわってきたビジネスの範囲外の分野に挑戦する副業は自分を変えるよい機会になります。副業経験を通して『自分には何かができる』という気持ちを持ち、本業以外のスキルが開発できれば、将来的にいろいろなビジネスをつくるチャンスにつながるのではないでしょうか」(稲原さん)人材開発グループのマネージャーとして、副業制度を取りまとめた大■道■寺■義■久■さんは、これまで3社で副業を経験した。「副業制度の認知度を広げるためにも、先陣を切れればと思い、副業に取り組んできました。社員には、副業制度を使い外部の会社とどんどんつながってほしい」と話す。鳥取県の農業法人での人事総務部門のサポートなど2社の経験を経て、現在は、鳥取県の建設コンサルティング会社の人事総務部門のサポートを行っている。「私の場合、副業は大きな報酬を求めて行うわけではないので、副業先も副業人材も、お互いに気楽に話せる点がメリットになっていると思います。もちろん仕事なので責任はありますが、ざっくばらんに、率直な意見交換が可能です。1日1~2時間の短時間ではありますが、本業と副業で頭を切り替えて仕事をしていると、気分転換にもなります。業務委託契約が終了しても副業先とのネットワークは残りますから」と大道寺さん。仕事上であっても気負いなく関係性が築けてネットワークを広げられるという点も、副業の魅力のようだ。が、同社で副業を経験した社員は自己の強みを再確認できたと感じ、未来のキャリア形成に役立つ自信やヒントを得ている。同時にキャリア形成の土台となるネットワークづくりにもつながっている。生涯現役時代のキャリア形成を考えるうえで、副業は大きな財産になりそうだ。副業をする目的やかかわり方はそれぞれだ2023.420

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