エルダー2023年4月号
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定年後再雇用は最長70歳まで賃金アップの仕組みも新たに導入企業内大学でリスキリングを後押し職務領域や専門性の拡大を目ざす雇用者はこのコースです。一般的に契約社員といわれる働き方は「B(ビジネス)コース」、時給で働くパート・アルバイトの働き方は「U(ユニティ)コース」となります。コース別に、雇用期間や就業時間、職務内容、異動・出向や転勤の有無などを明確にしています。また、当社では企業年金として企業型DCを導入しており、Bコース、Uコースで無期雇用転換された社員にも適用することとしています。定年後再雇用(Eコース)の希望者は、58歳時に事業責任者と面談を実施、面談シートの作成を通じて入社以来の業務の棚卸しを行い、次世代へ継承したいスキル、定年までの課題などを洗い出します。59歳を迎えた時点で、再雇用希望の最終確認を行い、健康状態確認のための産業医との面談を経て、60歳以降の目標を設定し、人事部より処遇についての説明を行います。そして、60歳定年の翌日から、再雇用に切り替わります。なお、定年前は60歳まで昇給することが可能であり、役職定年制度もありません。再雇用後は、原則として65歳を迎える年度末までですが、条件を満たせば最長70歳まで延長が可能です。定年後の再雇用では、A・B・Cの3段階評価を半期ごとに行い、賞与に反映させています。この65歳のときの評価でB以上、かつAが1つ入る評価になることが、70歳までの再雇用の条件となっています。少し厳しいかもしれませんが、クリアすれば70歳までの雇用が保障されるという仕組みです。契約更新時の賃金については、以前は昇給の仕組みはなかったのですが、制度を改正し、現在はA評価であれば2%まで昇給が可能です。賃金カーブは、60歳定年時にいったん下がりますが、そこからまた上げていくことができる仕組みとしました。また、65歳を超えて勤務を希望する者に対し、労働災害の発生を防止するため、自身の体力の衰えや健康状態を再確認し、体力向上に努めてもらうことを目的とした体力テストを毎年実施しています。テストを受けた者からは「もっとできると思っていたのに、こんなものだったか」、「血圧を気にするようになった」などの声が聞かれています。テスト当日には、保健師による問診や血圧測定も行うので、「問診や血圧測定があるなら体調を整えておこう」、「テストまでに体力をつけておこう」といった副次的効果も見えてきています。ラスアカデミー」を紹介します。創業50周年を迎えた2019年に開校しました。背景には、働き方改革の影響もあり、現場のOJTが停滞してしまったことなどがあります。そこで、企業内大学をつくり、いまでいう「リスキリング」をしようと考えたのです。ねらいは、イノベーションの源泉である「知識の探索」と「知識の深化」の促進です。学ぶことで、イノベーティブなアイデア・発想・思考を生み出すとともに、職務領域や専門性の拡大を目ざしています。ミドル・シニア世代には、適応力の向上もねらいとしています。「自分はこれしかできないと思っていたけれど、ほかにもあるのかもしれない」という発見につなげていくものです。と、すべてリアルタイムで講義をすることです。リスキリングは、会社の責任で教育をしていくものと考えています。講師は社外からも招いており、どんどん講座数を拡充し、現在は必修科目・選択科目を合わせて全150講座となっています。人事制度と連動した単位制で、3年間で修了を目ざしています。最後に、全社員を対象にした企業内大学「ポ本大学の特徴は、就業時間内に受講すること特集2生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム23エルダー

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