エルダー2023年4月号
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「70歳までの就業機会の確保に向けた〝生涯キャリア形成〟」加齢とともに増える労働災害高齢者の安全と健康確保の取組みを ■■ 令和4年度生涯現役社会の実現に向けたシンポジウムパネルディスカッション〝生涯キャリア形成〟について内田 企業が高齢者雇用を推進するうえでは、労働災害防止対策も非常に重要な課題の一つです。はじめに、中央労働災害防止協会の三■觜■さんより、高齢社員の労働災害防止対策についてお話しいただきたいと思います。よろしくお願いします。三觜中央労働災害防止協会(以下、「中災防」)は、厚生労働省の所管する特別民間法人として、働く人の安全、健康、そして快適な職場といったことについて技術的なサービスや、図書・雑誌などの販売を行っている団体です。本日は少しお時間をいただき、「加齢に伴う身体的機能と健康状態に関わる労働災害防止対策」についてお話します。まず、2021(令和3)年の労働災害発生状況について、年齢ごとの労働災害発生率(千人率)をみると※1、30代がもっとも低く、65歳から74歳がもっとも高くなっています。30代と比較すると、男性では約2倍、女性では約3倍も発生率が高いという状況です。また、休業4日以上の死傷者数を年齢別にみると、50歳以上が半数を占めています。やはり、高齢になると労働災害が増えてくるという現状があります。労働災害のなかで多く発生している事故は、「転倒」が圧倒的に多く、次いで、「墜落・転落」、3番目が「動作の反動・無理な動作」です。年齢別にみると、「転倒」については、全年齢のうち、50歳以上が約7割となっています。「墜落・転落」は、約5割という状況です。これらの要因としては、加齢による心身機能の変化ということがあげられます。東京学芸大学教育学部教授の内田賢氏※1 労働者死傷病報告(令和3年)、労働力調査(基本集計・年次・2021年)70歳までの就業機会の確保に向けた

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