エルダー2023年4月号
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高齢社員に期待するもの高齢社員を戦力化するために力を入れていることで確認したり、問いかけたりすることがとても大切であり、調子が悪そうであれば、しっかり対応していくことが必要です。日ごろからの健康状況の把握もとても大事なことです。内田それでは続いて、ポラスグループの石田さん、日鋼設計株式会社の山下さんにもお話をうかがっていきたいと思います。企業事例発表では、内外の資源を活用して自社の高齢者活用に資する教育訓練などを行っているというお話がありました。そのあたりを深掘りし、三觜さんからも適宜アドバイスをいただきながら、進めていきたいと思います。最初に、2社で活躍されている高齢社員に期待することについて、あらためてお聞かせください。まずは日鋼設計の山下さんからお願いします。当社における高齢社員への期待と役割山下 は、会社の将来をになう次の世代へバトンをつなぐ、ということになると思います。具体的には、長年つちかった技術、ノウハウを明文化して、定着を図っていくこと。また、第一線で仕事をしながら、後継者を育成・指導するということがあげられます。それから、若手に対しての学習の機会や経験の場をつくってもらい、成長に向けた働きかけやモチベーションを高める助言などにも期待しています。内田 いろいろなことがあるのですね。次にポラスグループの石田さん、お願いします。石田 部門によって期待するものが少し異なってくるのですが、建築分野では、やはり専門性の高い知識や経験の見える化・可視化・体系化を行い、伝承をしていくこと。そして専門キャリアを引き継いでもらいたいということです。不動産分野では、知識や経験の豊富な高齢社員だからこそ顧客から引き出せる情報といったものがありますが、ある意味で仕事が属人的になってしまっている部分もあり、やはり見える化・仕組み化していくことかなと思います。それともう一つ、若手社員や中堅社員に対してのよき教師であってほしいと考えています。社外活動や趣味なども含めて、なんらかの形で若手・中堅にがんばっている姿を示してほしいということも期待しています。内田 続いて、会社に貢献してもらうために、特に力を入れていることなどがあれば教えてください。登壇者・登場企業プロフィール◎設立 1979年◎業種 製造業◎従業員数  190人(広島県広島市)2023.428◎創業 1969年◎業種 建設業◎従業員数  4,383人(2022年11月時点)◎特徴的な高齢者雇用の取組み 定年60歳、希望者全員65歳・基準該当者70歳まで再雇用。定年後再雇用者にも業務内容や成果に応じた評価を行い、賞与や賃金に反映される。また、充実した企業内大学があり、就業時間内にリスキリングに取り組める環境が整っている(2022年4月時点)◎特徴的な高齢者雇用の取組み 定年60歳、希望者全員65歳・基準該当者70歳まで再雇用。高齢社員には、技術伝承の役割を期待しており、2020年に当機構の「生産性向上支援訓練」(ミドルシニアコース)を延べ87人が受講。技術伝承に関する情報共有や継承すべき具体的項目の整理などの成果があった中央労働災害防止協会 健康快適推進部 審議役・衛生管理士1981(昭和56)年、中央労働災害防止協会に入職。健康確保推進部次長、健康快適推進部研修支援センター所長、健康快適推進部審議役などを経て2019年より現職。著書に『ストレスチェックを活かす 元気な職場づくり−集団分析から始める職場環境改善−』(中央労働災害防止協会編 共著)、『職場の健康づくりを支援する 働く人の心とからだの健康づくりテキスト』(中央労働災害防止協会編 共著)などポラスグループ(埼玉県越谷市)日鋼設計株式会社 三觜 明氏

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