エルダー2023年4月号
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現場の声に耳を傾ける■■木■昇■代表取締役や長■谷■哲■雄■常務取締役が、機会を■■市原さんと結城さんは、徳島ハイウエイサービスについて、口を揃えて「働きやすい会社」と表現します。同社が常に職場環境の改善に努めていることや、有給休暇がしっかりとれることなどが大きな理由のようです。同社では、良好な職場環境づくりは、従業員が安全に働くための基本と考えており、そのためには現場の声を聞くことが重要となることから、正■見つけては現場を訪れ、従業員の顔を見ながらコミュニケーションを図り、そこで聞いた声を取組みに反映しています。例えば、毎月の勤務シフトを組む前に希望の休暇日があれば聞き、その希望を優先してシフトを調整する柔軟な対応を実現しています。シフトは現場の上司が作成しており、従業員と上司の信頼関係ができていることも、「働きやすさ」につながっているようです。そのほか、必要な資格取得支援や夏場の道路維持従事者へのファンつき作業服の支給、料金所モニター監視席のイスの改善なども行っています。田中プランナーが初めて同社を訪問したのは、2022年6月のこと。同社では、67歳の継続雇用年齢を上回る高齢従業員が多数就業していることと、今後10年間に定年を迎える従業員が複数人いる状況であることから、「労使で信頼感と納得感を醸成していくためには、高齢従業員の戦力化とさらなる活性化が必要と感じた」とふり返ります。課題や方向性を整理するために、当機構の「企業診断システム(雇用力評価ツール)」を使って分析したところ、同社の強みとして「ほかの事業所に比べ、離職率が低いことがわかりました」と田中プランナー。働きやすさ、処遇、福利厚生の手厚さなどが背景にあるといいます。正木代表取締役は、「診断をしてもらったことで、客観的に自社をみることができました」と診断結果を受けとめていました。この結果をふまえて田中プランナーは、同社の高齢者雇用について、人材流出防止策と高齢従業員の処遇の明確化、そして社内全体のモチベーションアップにつなげていくための希望者全員70歳・基準該当者75歳までの継続雇用制度の導入、健康状態などが気になる年代に対する柔軟な働き方の制度の明文化などを提案しました。同社ではこれらの提案を今後の課題としていくとのこと。さらに、正木代表取締役は、今後について「現在いただいている仕事を継続し、雇用を守り、働きやすい職場環境を引き続きつくっていくことに務めます。会社の将来を見すえて、若い世代の採用に力を入れていくこともたいへん重要だと考えています」と語りました。同社では、21歳の従業員も在籍していますが、ここ数年、若い世代の採用がむずかしくなっているため、高齢従業員の活躍推進も大事な取組みとしつつ、会社存続のためには若手の採用が重要課題となっているとのこと。そこで田中プランナーは、「10年、20年先を見すえた採用計画を立てて1年1年採用に努め、同時に、現場でいま活躍されている高齢従業員のような人材を育てていくことも大切です」とアドバイスし、今後もサポートを続けていくことを伝えました。(取材・増山美智子)43高速道路の料金収受業務の風景(写真提供:徳島ハイウエイサービス株式会社)エルダー10年、20年先を見すえて

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