エルダー2023年4月号
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職場における代表的なハラスメント■■今回はハラスメントについて取り上げます。ハラスメントとは、相手が嫌がり、精神的苦痛を感じる言動をすることで、個人としての尊厳や人格を不当に傷つける行為をさします。日常的にさまざまなハラスメントの問題が報道で取り上げられるなど、広く一般化した用語ではありますが、本稿では職場における代表的なハラスメントについて取り上げます。・パワーハラスメント(パワハラ)…職場において行われる「優越的な関係を背景にした言動」であり、「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」により、「労働者の就業環境が害されるもの」の三つのすべての要素を満たすものをさします。該当する言動には①身体的な攻撃、②精神的な攻撃、③人間関係からの切り離し、④過大な要求、⑤過小な要求、⑥個の侵害といったものがあります。上司からの必要以上の執■拗■な叱責により部下の業務遂行に支障をきたすといったものが一般的な例になりますが、上司よりも豊富な知識や経験を有する同僚・部下から上司に対する同様の行為もパワハラに該当します。・セクシュアルハラスメント(セクハラ)…職・妊娠・出産・育児休業等ハラスメント…妊場において行われる労働者の意に反する性的な言動により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されることをさします。性的関係の強要や必要なく身体に触れること、性的な内容の発言をすることなどが例としてあげられますが、異性に対するものだけでなく、同性に対する言動も対象となります。また、性的指向(恋愛・性愛がいずれの性別を対象とするか)や性自認(性別に対する自己認識)に関する言動もセクハラに該当することを見落とさないようにしたいところです。娠・出産した女性労働者や育児休業などを申し出・取得した男女労働者の就業環境が害されることで、マタニティハラスメント(マタハラ)と呼ばれることもあります。妊娠・出産、育児休業などを理由として、解雇、不利益な異動、減給、降格など不利益な取扱いを行うことは、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法などで禁止されています。また、これらの行為以外でも、休業制度や育児時短の利用の拒否や嫌がらせの言動などもハラスメントに該当します。近年は男性社員からの当該制度の活用の申し出も増えていますが、拒否や嫌がらせはパタニティハラスメント(パ株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。2023.456第33回「ハラスメント」■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典

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