エルダー2023年4月号
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データを分析し最適解を導き出す面白さhttps://www.ke i. o-denka.jcop/京王電化工業株式会社TEL:042(483)1900(撮影・福田栄夫/取材・増田忠英)ながらめっき処理する方法だ。もう一つの方法として、治具(ラック)に引っかけて行うラックめっきがあるが、バレルめっきの方が低コストで大量生産ができる。クロムへのめっきは従来、小さな部品を一つひとつ治具に固定するラック式で行われてきたが、山本さんたちはバレルの形状や電極の材質・形状・配置などを工夫することにより、約1年半をかけてバレル式の工法を編み出した。新技術を開発できた一要因として、山本さんのデータ分析技術があげられる。例えば、三価クロムのバレルめっきでは、5種類の薬品の組合せ比率ごとに、めっきの生成スピードや外観の色などがどう変化するかを調べて比較し、最適な比率をみつけ出した。こうした山本さんの技術は、通常の生産管理にも発揮される。同じめっき作業でも、受注数によって最適な生産条件は異なる。その条件を導き出す計算方法を考え、あらかじめパソコンに設定することで、受注数を入力すれば最適な生産条件を自動的に算出できるようにし、効率化に貢献している。 「いまの自分があるのは、どうしても出てしまう不良品に興味を持つことができたからです。なぜ不良品ができたのか、現物を観察し、どの工程に原因があったのかを探り、解決策を見つけることが面白く、やりがいにもなります。その積み重ねが、継続して良品を生産することにつながっています」自身が先輩から学んできたように、山本さんも将来のめっき業界を背負っていく後輩たちに、自分の知識・経験を引き継いでもらえるよう、指導に力を注いでいる。631968(昭和43)年創業の京王電化工業株式会社。ベトナムにも工場を持つ製品の品質を検査する検査室。常にわかりやすい説明を心がけている全自動のめっき装置を操作する。現在も半日は現場でめっき作業を行っている手動でのめっき作業。部品を引っかけたラックをめっき液に浸すエルダー vol.326

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