エルダー2023年4月号
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副業を持つ働き方が企業と社員にプラスに作用するのはなぜか副業拡大の背景にある個人の幸福の追求近年、社員の副業を認める企業が増えてきました。厚生労働省も「副業・兼業の促進に関するガイドライン」※を出すなど、このような動きを後押ししているように見えます。その背景をどう分析されますか。国の政策視点でみると、少子高齢化で労石山 働力人口が減るなか、副業を含む多様な働き方を拡充し、少しでも労働力の確保を図りたい意図があるのでしょう。働き方の選択肢を増やすことは、シニアがより長く働ける環境づくりに資するものですし、成長分野の企業が労働力を確保するための選択肢を増やすことにもつながります。しかし、そうしたマクロのとらえ方だけでは石■山■恒■貴■―7■■■■法政大学大学院政策創造研究科教授なく、「個人の幸福追求」という視点から、副業を持つ働き方への関心が高まっていることも、重要な点として押さえておく必要があります。人の一生で、働き盛りを過ぎて現役を引退してからのステージを「サードエイジ」と呼ぶことがありますが、人生100年時代といわれる長寿社会では、このサードエイジを単なる引退の局面と位置づけるにはあまりに長すぎます。幸せな人生を全うするために、長いサードエイジをより意義あるものとして生きたいという個人の欲求が強くなっています。サードエイジを意義のあるものとするためには、その前のセカンドエイジの段階、つまり現役の時代から、パラレルキャリアで働くことが効果的です。「パラレルキャリア」とは、主たるキャリアのほかに、収入の有無を問わず、もう一つの活動分野での役割を持つことです。そこには、NPOや地域活動などへの参加のほか、本業以外に副業を持って働くというスタイルも含まれます。はじめたのと同じ時期に、働き方改革の一環として、柔軟な働き方を認め合うことの価値を重視する社会の動きが重なり、副業解禁を求める声が広がってきました。人々がパラレルキャリアの人生に関心を寄せ特集170歳就業時代の副業を考える石山恒貴教授※  「副業・兼業の促進に関するガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000962665.pdfエルダー特別インタビュー特別インタビュー

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