エルダー2023年5月号
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情報収集には、医療機関との連携が不可欠労働者から両立支援の申し出があった際に、事業者が支援内容を検討するにあたって参考となる情報は、①「病状、治療の状況」、②「退院後または通院治療中の就業継続の可否に関する意見」、③「望ましい就業上の措置に関する意見」、④「その他配慮が必要な事項に関する意見」などがあります。これらの情報を主治医から提供されることで両立支援をスムーズに行うことができるため、プランの内容は、労働者本人とよく話し合う先に主治医に労働者本人の業務内容などの情報を提供することが望ましいといえます。このように両立支援にあたっては企業と医療機関の連携が非常に重要です。具体的な情報の流れは、図表1のとおりです。仕事に関する情報は、労働者が自らの仕事に関する情報を整理し、主治医に提供することになりますが、この際、労働者が必要十分な情報を収集し整理できるよう、上司や人事労務担当者、産業医などの産業保健スタッフが、勤務情報の提供のための書面作成や両立支援に関する手続きの説明などの支援を行うことが望まれます。職場での配慮事項などをまとめた意見書は、主治医によって作成され、労働者本人から事業者に提出されます。事業者は、これを基に就業継続や職場復帰の可否、就業上の措置、配慮の具体的な内容、スケジュールなど(以下、「両立支援プラン」図表2)を検討・実施します。主治医から提供された情報が十分でない場合は、労働者本人の同意に基づき、人事労務担当者や産業保健スタッフなどが、主治医からさらなる情報収集を行うことも必要です。両立支援プランは、支援の実施者である事業者が策定しますが、業務による病気の増悪等がないよう、労働者本人や企業の関係者(上司、人事労務担当者、産業保健スタッフなど)と一緒に、どのように働き続けることができるかよく話し合い、合意形成に努める場を設けることが重要です。置や配慮の内容、時期・期間が変化することもあります。両立支援プランを策定した労働者については、適時、労働者や職場の上司などから状況を把握し、プラン内容の見直しを行う必要がないか、人事労務担当者と産業保健スタッフなどが組織的にフォローアップを行う必要があります。主治医をはじめ、主治医と連携している医療ソーシャルワーカー、看護師、両立支援コーディネーターや、地域の産業保健総合支援センターなどに相談することができます。と医療機関、地域の支援機関などが円滑に情報連携を行うことで、労働者の個々人に合った、さまざまな支援が可能となります。また、病状や治療の経過によっては、必要な措なお、両立支援プランの作成で悩む場合は、このように、治療と仕事の両立支援は、企業企業が使える支援策企業が環境整備や労働者に対する両立支援を〜〜〜特集病気の治療を続けながら働ける会社へ13エルダー図表2 両立支援プラン/職場復帰支援プランの作成例出典:厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」作成日:     年   月   日従業員氏名所属治療・投薬等の状況、今後の予定期間(記載例)1か月目2か月目3か月目業務内容その他就業上の配慮事項その他生年月日 年  月  日従業員番号・入院による手術済み。・今後1か月間、平日5日間の通院治療が必要。・その後薬物療法による治療の予定。週1回の通院1か月、その後月1回の通院に移   行予定。・治療期間を通し副作用として疲れやすさや免疫力の低下等の症状が予想される。※職場復帰支援プランの場合は、職場復帰日についても記載勤務時間10:00就業上の措置・治療への配慮等短時間勤務毎日の通院配慮要残業・深夜勤務・遠隔地出張禁止作業転換短時間勤務通院日の時間単位の休暇取得に配慮残業・深夜勤務・遠隔地出張禁止作業転換通常勤務に復帰残業1日当たり1時間まで可深夜勤務・遠隔地出張禁止作業転換平日毎日通院・放射線治療(症状:疲れやすさ、免疫力の低下等)15:00(1時間休憩)10:00週1回通院・薬物療法(症状:疲れやすさ、免疫力の低下等)17:00(1時間休憩)9:00月1回通院・薬物療法(症状:疲れやすさ、免疫力の低下等)17:30(1時間休憩)・治療期間中は負荷軽減のため作業転換を行い、製品の運搬・配達業務から部署内の ●● 業務に変更する。・副作用により疲れやすくなることが見込まれるため、体調に応じて、適時休憩を 認める。・治療開始後は、2週間ごとに産業医・本人・総務担当で面談を行い、必要に応じてプランの見直しを行う。(面談予定日:●月●日●〜●時)・労働者においては、通院・服薬を継続し、自己中断をしないこと。また、体調の 変化に留意し、体調不良の訴えは上司に伝達のこと。・上司においては、本人からの訴えや労働者の体調等について気になる点があればすみやかに総務担当まで連絡のこと。性別男・女(参考)治療等の予定

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