エルダー2023年5月号
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概要の3段階で取り組まれており、各段階で必要な支援を、健康管理室(産業保健職)・人事部門・健康保険組合・所属部門が連携して行っている(図表1・2)。「早期発見・早期対応」、「療養・休職」については、がん検診を含む健康診断や最大30カ月可能な休職制度など、もともとあった手厚い支援制度を活用しているほか、従来の制度になかった取組みとして、抗がん剤の投与を受ける場合など、がん治療にともなって生じる時間的制約に対する配慮をはじめ、次の内容を新たに制度に組み込んだ。「がん治療と仕事の両立支援制度」◆対象者がん治療にともない、通院する従業員(がん治療にともなって生じる時間的制約に対する配慮措置)◆制度概要対象者からの申し出により、治療計画に合わせて1年間を限度として、以下いずれかの適用を認める。①短時間勤務…2時間/日を限度に所定就業時間を短縮②特別無給休暇…1日/週を限度に特別無給休※がんの再発により再び通院治療が必要になっ◆出勤率取扱いでの出勤率は、出勤扱いにする。◆両立支援プランの作成と継続フォロー前に、まず自身の状況を正しく把握することを重視し、信頼のおける機関にアクセスし、各自に合った両立支援プランを作成する。復職後も定期フォローを実施。2次障害(メンタル不調)が起こりうることを前提に、メンタル面でのサポートも行う。健康管理室に相談することから始まる。制度を創設した効果として大柿さんは、健康管理室への事前(休職前)相談・問合せが増えたことをあげる。2年間の実績で、相談件数は約40件、制度の適用は19件にのぼる。を制度に取り入れたことにより、治療後も本人暇を付与た場合は、再度1年を限度として適用を認める。昇給計算、昇格選考受験資格、有給休暇付与今後のことや仕事のことについて考え始める制度創設の効果は相談者が増えたこと一方で見えてきた課題も治療と仕事の両立支援は、本人または上司がまた、復職後の不調を想定し、「継続フォロー」特集病気の治療を続けながら働ける会社へ図表2 がんと診断されてからのフロー17エルダーがんと診断される復帰の見込みまたは両立支援制度の利用希望両立支援プラン作成(産業保健スタッフ等)本人または上司から健康管理室へ相談・報告健康管理室へ連絡産業医復職判定または支援方法検討面談(上司、(人事)同席)(希望により)健康管理室から両立支援制度利用時必要書類(しおり)を受け取る両立支援制度利用開始情報提供主治医意見書を会社に提出産業医定期面談継続フォロー資料提供:株式会社村田製作所治 療復 職または

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