エルダー2023年5月号
44/68

1 第三者に任せられる、「目的」の明確な「仕事」がある。2 人を雇ってその仕事をさせれば、使用者の利益となる「成果」が得られる。3 使用者は一定の賃金でその仕事を引き受ける労働者を見つけることができる。4 その成果がもたらす「価値」は、使用者が支払う賃金の額よりも大きい。5 外部に費用を払って業務を委託したり、代わりの製品・サービスを購入するよりも、また自分で処理するよりも、人を雇うほうが費用対効果は大きい。賃金の基本要素と日本の賃金制度の変遷1第回1賃金に賃は金毎決月定のの給基与、本夏要冬素等との賃賞金与制、退度職時の退職金・企業年金などがありますが、なんといっても、毎月の給与が労働の直接の対価として最重要です。そのなかでも一番金額の大きい「基本給」部分の組み立て方こそ、賃金制度の最大のテーマです。少し原理的な話になりますが、使用者が人を雇い賃金を払うのは、使用者の手元に次のような「仕事」があるからです。人を雇うという行為は、このように明確な経済的利益が見込まれる仕事があるときに、一定の賃金を払って人の「仕事をする能力」を一定の時間量あるいは作業量で買い取り、実際に仕事をさせて使用者の期待する「仕事の成果」を実現するところに本質があります。賃金は、使用者が労働力の使用権を買い取り、使用者の指揮命令のもとで仕事をさせ、使用者に成果をもたらす、社会経済的な媒介の働きをする特別な貨幣なのです。ここから、賃金の直接的な決定要素は図表1の六つに集約されます。仕事をして・成果を上げる」という普遍的な価値創出の構成要素そのものです。④の支払い形態※1に加え、①②③要素の何を重視して労働者一人ひとりの賃金を配分するかによって、賃金制度の基本的な性格が決まります(後述)。例えば、だれでもほぼ成果が上がる難易度の低い仕事であれば、人の要素よりも「簡単な仕図表1のうち①②③は、企業内で「人が・2023.542※1 ④の支払い形態は勤務日数や労働時間に応じた給与計算や、出来高に基づく歩合給の計算処理などの部分をいいます 従来型のヒト基準の日本的人事制度が制度疲労を起こし、年齢や性別などを問わず人 従来型のヒト基準の日本的人事制度が制度疲労を起こし、年齢や性別などを問わず人材が活躍できるシンプルな雇用・人事・賃金制度に対するニーズが高まっています。 本連載では、正社員・非正社員を等しくカバーする役割・職務基準の人事制度を軸に、いま話題のジョブ型賃金の活用を含めた高齢者の賃金待遇のあり方を探っていきます。新連載株式会社プライムコンサルタント 代表 菊■■谷■寛■■之■■シニア社員のためのシニア社員のための「「ジョブ型ジョブ型」」賃金制度の賃金制度賃金制度賃金制度賃金制度ののつくり方つくり方

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る