エルダー2023年5月号
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Q2ハラスメント防止措置についてて本人の同意なく行うことはできませんので、子会社が退職金を支給しない状態であれば、親会社からの退職金支給を維持するなど、12020(令和2)年に労働施策総合推進法および男女雇用機会均等法の改正が行われ、職場で行われる各種ハラスメントに関して、労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じることが事業主に義務づけられました。不利益を緩和する措置をあわせて用意しておくことも必要になります。この改正にともない、事業主としてはハラスメント防止措置をとることが義務づけられており、具体的な措置に関するガイドラインが厚生労働省において定められました。事業主が行うべきとされている措置の典型例は、相談窓口の設置や従業員に対する教育・研修などです。そして、ハラスメント発生時の対応としては、事案にかかわる事実関係を迅速かつ正確に確認することが求められており、さらに、発生後の再発防止策を講じることも求められています。おいては、「職場」におけるハラスメントの発生が問題となっているため、当事者間で生じたハラスメントが「職場」で行われたものでなければ、当事者間の解決に委ねてもよいことが多いでしょう。ただし、ここでいう「職場」とは、通常就業する場所のみを意味するのではなく、業務を遂行する場所であればこれに含まれますし、その延長線上にある時間帯も含むとされています。基本的には、指揮命令下にあるような労働時間に該当する場合には、業務を遂行している状況にあると考えられるため、例えば、終業時間後の懇親会などであっても、事実上参加が強制されているような場合には、労働時間と評価されるように、終業時間後などであっても、「職場」に該当すると考えられます。が損害賠償責任を負う根拠となる民法第715条に基づく使用者責任を負担する要件である「事業の執行」の判断と重なる部分が多く、労働時間中のハラスメント被害に対して、会社は損害賠償責任を負担するおそれがあります。2社男女雇用機会均等法およびガイドラインにまた、ここでいう「職場」の概念は、会社内におけるセクハラ発生時には、だれと当事者間で示談が成立したセクハラ事案に会社は介入するべきですか職場で生じた場合には、会社としても使用者責任を負担する可能性がある以上、自らの責任範囲を把握する必要があります。また、職場におけるセクシュアルハラスメントに対する懲戒処分の内容を検討するにあたって事実関係を把握する必要性もありますので、関与する必要はあります。ただし、当事者間では解決した問題であるため、懲戒処分の公表などは控えておくことが適切でしょう。セクシュアルハラスメントと会社の責任ある管理職から職場の社員間でセクシュアルハラスメントがあったとの話を聞きました。事実関係を調査する過程で、当事者双方が「示談で済ませたいので、会社には介入してほしくない」という意向を示してきました。仮に、こうした当事者間で示談が成立した場合、会社は関与しない方がよいのでしょうか。2023.548A

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