エルダー2023年5月号
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(ocomotiして、転ぶお父さんがいます。昔はスポーツマンだったかもしれませんが、いまは運動不足で足がついていかず、もつれて転倒してしまったということが考えられます。また、屋外だけでなく、屋内の何もないところでつまずいてしまう人もいます。これはつま先を上げる筋肉である前脛骨筋が弱っていることが考えられます。つま先を上げる運動をやってみましょう(図表1)。英語で「移動すること」を「ロコモーション  l■on)」といいますが、骨・関節・筋増加傾向にある転倒災害転倒しやすいのはどんな人?ロコモと転倒転倒は、通路・床などのほぼ同一平面上で滑ったり、段差・突起物などでつまずいたりすることで起こります。また、梯■子■や階段から落ちるのは「転落・墜落」といって、転倒とは区別されています。「転倒災害」とは、交通事故・感電などを除いた「転倒による労働災害」のことで、もっとも多い労働災害のひとつです。そのため、厚生労働省では2015(平成27)年から「STOP!転倒災害プロジェクト」を展開し、転倒災害の防止を呼びかけています。しかし、2021(令和3)年度の労働者死傷病報告(休業4日以上)によれば、もっとも多い労働災害が転倒災害で、2017年に比べて18・9%も増加しています。特に、小売業、社会福祉施設および飲食店では労働災害の3割を占めており、陸上貨物運送事業でも著明に増加しています。転倒しにくい環境をつくるだけでなく、転倒しにくい身体づくりが必要なようです。それでは、「転倒しやすい人」とはどんな人でしょうか。子どもの運動会でリレーなどに出場2023.550図表1 前脛骨筋を鍛える運動★本連載の第1回から最終回までを、当機構ホームページでまとめてお読みいただけます https://www.jeed.go.jp/elderly/data/elder/series.html※ 筆者作成 70歳までの就業が企業の努力義務となり、時代はまさに「生涯現役時代」を迎えようとしています。高齢者に元気に働き続けてもらうためには、何より「健康」が欠かせません。 働く高齢者の「健康」について坂根直樹先生が解説する本連載も、今回が最終回です。最終回転倒災害を予防しよう健康ライフ健康ライフ健康ライフHealthy Life for the elderly

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