エルダー2023年5月号
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「安全衛生」、「就業規則」、「テレワーク」、「ハラコロナ禍でのテレワークの急速な拡大や健康経営への関心の高まり、国による副業の推進など、ここ数年、企業を取り巻く労働環境は大きく変化している。本書は、そうした変化をとらえて、テレワーク中の部下の管理や在宅勤務の増加による通勤手当廃止、副業の容認、ハラスメント対策など、いま知りたい労務管理の課題を例にあげ、その考え方やポイントを解説する。第1章の「採用」から、「賃金」、「労働時間」、スメント」、「退職」までの8章で構成されており、労務管理の全体像も理解できる。著者は、社会保険労務士であり、非常勤講師として大学で労働法の講義も行っている。本書の解説が平易な言葉と図解やイラストの活用によってわかりやすくまとめられているのは、そうした経験からくるものでもあろう。経営者や労務担当者を対象とした労務管理の入門書だが、「労務分野でもDXは必要」、「業務の見える化で労務トラブルの予防」など、これからの時代の労務管理のあり方にも触れている。あらためて学びたい担当者にとっても、多くのヒントが得られる一冊といえるだろう。著者の坂■東■眞■理■子■氏は、総理府(当時)、埼玉県副知事などを経て、昭和女子大学の総長を務めている。300万部を超えるベストセラー『女性の品格』をはじめ、女性を応援する著書を多数執筆していることでも知られる。は、人生半ばを迎えた女性たちへのエールだ。第一部では、この40年間の日本女性の考え方やキャリア形成の変遷を、坂東氏の実体験もふまえて考察する。第二部では、人生後半期をどう生きるのかを問い、「自立して生きるという覚悟」を提案。高齢期は「のんびり暮らしたい」というのは人生70年時代の考え方であり、50歳の女性の平均余命が38・78年(2020年)と長くなった現代やこれからは、「働き続ける覚悟」を持つことが求められると迫る。ただ、若いときのような働き方ではなく、「自分で納得できる意義を見出せる仕事に就くことが大事」と説く。また、定年を迎えた女性へのキャリアアドバイスや、「再就職においても自分は何を求めているのか、優先順位をつけて考えること」の大切さ、歳を重ねた新人として新しい職場に入る際の「再就職の心得」などをアドバイス。男性が読んでも身になる内容である。■■図解と事例これ一冊!労務管理の基本がぜんぶわかる本女性の覚悟58※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します70代半ばとなった坂東氏が本書に綴ったのワン・パブリッシング/三谷文夫 著/1540円坂東眞理子 著/主婦の友社/1350円2023.550歳女性の平均余命は約40年。そこからの働き方などを明快にアドバイスこれからの時代を見すえた、労務管理の入門書

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