め、10年前の感覚で接するのは間違いだといえるでしょう。企業の配慮が空回りするのと同様に、シニア人材側の配慮や遠慮もまたミスマッチにつながることがあります。例えば、シニアの再就職がむずかしいことや年金受給の関係などから希望年収を低く伝えたことが仇となって不採用となるシニアもいます。このように想定した年収のレンジを下回った場合も、企業は、期待するスキルや働き方と異なるのではないかと懸念して、内定を出さないケースがあります。こうした企業とシニア人材の勘違いやすれ違いをなくすには、情報や条件のすりあわせだけでなく、言葉の意味・定義も含めた、細かいすりあわせが必要になるでしょう。もしかするとそれは「ジョブ型雇用」が今後浸透することで身近なものになるかもしれません。実際、シニアの中途採用で高い評価を得るケースは、教育や配置転換を前提としたメンバーシップ型雇用ではなく、何らかの専門的な経験スキルを求められるものであり、すでにジョブ型雇用に近いと見ることもできます。最後に、ミスマッチを防ぎつつ、シニア人材をスムーズに採用・活用するためのアドバイスをまとめたいと思います。・時代に合った経営や雇用の感覚を持つ・シニアにかぎらずすべての社員が働きやすい環境を整える・シニアに任せる業務を切り出す、ジョブ型雇用を進める・古いシニアのイメージや先入観で接しない、壁をつくらない・健康面は会社も気をつけ、シニア本人任せで無理をさせない冒頭からお伝えしてきた通り、シニアにかぎらず働き方は大きく変わりつつあります。シニアだからといって過去の働き方のままが快適というわけではなく、やはりいまの時代に合わせた働き方に変えていかなければ、ミスマッチが生じてしまうでしょう。また、シニアを活用することでほかの世代がないがしろになるわけではありませんし、世代間で対立が起きるわけでもありません。シニアが活躍できる環境は、ほかの世代にとっても働きやすい環境であることが多いため、シニアだけに視野を狭めるのではなく、より多様な視点が必要です。にどんな仕事を任せるのか細かく業務を選別し、その業務に合った人材を採用する、いわゆる「ジョブ型雇用」に近い考え方が、特にシニアのミスマッチを防ぐためには必要です。どうしても体力的にむずかしいこと、苦手なこともあるため、どの仕事に期待し、どの仕事は最初から依頼しないのか、採用前から業務を切り出して選考時にしっかり話しあうことでミスマッチを減らすことができます。シニアの孤立につながります。基本的には同じツールを使って仕事をしてもらい、新しいことを覚えるのを妨げず、推奨することが望ましいです。シニアだからと特別扱いしてしまうとそれを壁に感じ、孤立してしまうでしょう。険です。過剰にセーブしてしまうのはよくないですが、やはり体力は年々衰えるため、ある程度会社側が様子を見ておかなければ、知らず知らず無理をしてしまうシニアもいます。いう世代"と一くくりにはできません。体力も健康も能力も個々で違うので、世代でとらえず、個々の人材に向きあうことがミスマッチを防ぐ近道となるのではないでしょうか。これもシニア人材にかぎらずですが、採用前一方で、シニアだからと制限しすぎるのも、ただし、シニアの健康面だけは本人任せは危いずれにせよ、若い世代もシニアも、"こうシニア採用でミスマッチを防ぐポイント2023.614
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