学卒業後、1980(昭和55)年に大手工機メーカーに就職し、5年間業務用の大型プリンタの製品開発をしていた。その後転職し、大手電機メーカーのOA機器開発チームで、おもにDVDの生産技術にたずさわった。ここで順調にキャリアを重ねた五十嵐さんは、国内にある工場長などを経て、ベトナム・インドネシア・中国の海外工場の統括業務などをになった経歴を持つ。それぞれの工場では現地スタッフを含む従業員が働いているが、各工場における生産技術のレベルの統一、いわゆる「高位平準化」に尽力した。平準化ができていない状態は、いわゆる「ムリ・ムダ・ムラ」が生じている状態ともいえる。特定の従業員や時期に業務量が集中してしまうのを防ぐなど、五十嵐さんは均等な負担で業務を遂行できるように、生産管理の全体統括をしてきた。社長を務め、57歳で早期退職を決断。2015年に、公益財団法人東京しごと財団の「東京しごとセンターシニア中小企業サポート人材プログラム」を受講したことによって、株式会社大石アンドアソシエイツ代表の大石聖社長に出会い、入社することになった。「東京しごとセンターシニア中小企業サポート人材プログラム」とは、おおむね55歳以上で、大手や中堅の民間企業などにおいて、管理職として約5年以上のマネジメント経験のあるシニアを対象に、就業相談や個別のカウンセリングの実施、求職活動に役立つセミナーの受講によって、中小企業での働き方を総合的に学ぶことができるプログラム。また、シニア採用意欲のある中小企業に対しては、プログラム受講者の人材情報が提供される。五十嵐さんは2カ月間、週3回のペースでプログラムを受講。その内容は「もっと若いころに学んでおけばよかった」と思えるほどに充実したものだったという。例えば、同じ受講者のなかには、自衛隊や広告業界で働いていた人など、それまで接したことがない異分野の面々がおり、そういった人たちとチームになって一つのテーマについて話し合うと、まったく違う視点が目の前に広がっていった。「こんな素晴らしいカリキュラムを無料で受講させてもらってよいのかな」というのが率直な感想だったそうだ。グに移行し、大石アンドアソシエイツの大石社長が同プログラムから提供された情報をもとに来訪して、五十嵐さんと面談を行った。「即戦力になり、品質管理で部門実績に貢献できる人材」を探していた同社の印象について、五十嵐さんは次のように話す。「マッチングにあたっては、いろいろな企業の方と面談をしましたが、まったくの未経験の仕事の場合、まずは教えてもらうところからスタートしなければならず、再就職のハードルが高くなります。私はメーカー時代、一貫してエンジニアとしての経験を積んできたこともあり、それが活かせる会社を私自身も探していました。大手メーカーでは品質管理が問われるのはあたり前のことです。この会社でなら、経験を活かして必ずお役に立てると思い、入社を決研修を終え、プログラムが企業とのマッチン「シニア中小企業サポート人材プログラム」を受講して再就職に至る品質管理に貢献できる人材として即戦力を期待して採用2023.616開発部の若手社員と打合せをする五十嵐さん(写真提供:株式会社大石アンドアソシエイツ)50歳のときに子会社に転籍となり、そこで
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