エルダー2023年6月号
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ll ll また、五十嵐さんは、修理サービスだけではなく、ものづくりの工程の視点から商品開発を考えないと品質は改善されないという思いから、必然的に商品開発についても提案をするようになった。そのうち商品開発担当者が退職したことから、五十嵐さんは商品開発部門も管理するようになり、現在は会社全体のマネジメントにたずさわっている。海外ブランドを日本で販売することを主力としている同社だが、それを円滑にするためにはどんな工夫をしているのかをたずねてみた。例えば「Russeンドであり、体も大きくキッチンも大きい欧米人向けにつくられているため、日本の家庭にはあわない。そこで同社では日本にあうような規格にしてファブレスメーカー※として、中国で商品を製造し、「Russeライセンスを支払う方式で事業を行っている。つまり、そこから国内販売をする際には、日本人向けに同社独自の品質管理をしていく必要がある。「そこで中国の現地社員には、日系企業でものづくりを経験し、日本人の品質基準を知ってHobbs」はイギリスのブラHobbs」のブランドいる人材を採用しました。その効果は非常に大きいですね。工場にクレームがあっても中国人の営業を通しては伝わらないのです。そこで現地社員が現場の監督者とコミュニケーションを取りながら、課題を解決していきます」と語る五十嵐さん。ここでも、前職で海外工場の統括業務をになってきた五十嵐さんの経験が活かされている。最後に、五十嵐さんに今後の目標についておうかがいした。「57歳で入社して8年が経過し、かなりの年齢になりました。当社の規定では65歳が退職年齢ですが、現在、私は役員なので適用されません。大石社長が次世代への事業承継を考えているので、持続可能な会社経営のためのサポートをしていきたいと思っています。私がいままでやってきたことは、『後は任せるよ』と社員へ渡していくステージに入ってきたのだと思います」また会社にとってさまざまな課題を解決するためには、同社にとって最適な人材を採用することも必要だ。次期社長を支える人材の育成や採用も重要である。五十嵐さんは次のように続ける。「当社は海外と事業を行っているので、語学やコミュニケーションの面でスキルのある方が望ましいですね。そして最大の課題は品質ではなく、どうやったらより売れる商品を開発できるかだと思っています。そこに真摯に向き合って、これからもよい商品を市場に提供し、会社へ貢献していきたいと思っています」と結んだ。欧米仕様を日本にあう規格に変え品質管理をしていくための工夫に尽力持続可能な経営のために次世代へサポートしていくこと2023.618※ ファブレスメーカー……自社で工場を持たないことで、開発研究やマーケティングにリソースを集中させる企業五十嵐さんの話に真剣に耳を傾ける若手社員 (写真提供:株式会社大石アンドアソシエイツ)

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