多様な働き方が可能な労働環境を模索定年後も会社にとって欠かせない存在に■■■■プのあり方」をテーマに、リーダーシップの機能や年上部下との関係づくりなどの講義、グループ討議などを実施しました。終了後の受講者のアンケート結果は好評で、同社の天■野■隆■章■専務取締役は、「年上の部下、年下の上司にどう対応していくかといった内容で、所属長を若手にしていく取組みを始めた当社にとって、本当によいタイミングで研修をしていただきました」とふり返り、現在では若い所属長がリーダーシップを発揮して各部署をまとめ、まわりがそれを認めて「高齢従業員が若手を支える雰囲気ができてきている」と笑顔で語ります。3年半ほど前の就業意識向上研修が、新たな体制を一歩前へ押す力の一つになったといえるでしょう。同社の83人の従業員のうち、37人が家庭から出されたごみなどを収集する廃棄物収集・運搬作業を担当し、25人が場内で収集物の選別作業を行っています。制度があり、65歳以降も運用により働き続けることが可能で、現在の最高年齢者は76歳です。定年廃止や定年延長の検討もしていますが、天野専務取締役は、現在の考えや取組みについて次のように語ります。「収集・運搬作業は特に体力が要りますし、腰痛やけがのリスクがあることなどを考慮して、柔軟な働き方ができる職場づくりを模索しています。『フルタイムで働くのは体力的にきつくなってきたので短時間勤務に変えたい』など、高齢従業員にかぎらず、育児・介護と仕事の両立といったことも含めて、だれもが安全に長く働くことができるよう、多様な働き方ができる環境の整備を追求し、固定概念にとらわれず、勤務時間や賃金などについて柔軟に検討していきたいと考え、動き出しました」その背景には、人材の確保が年々むずかしくなってきていることに加え、「経験豊富な従業員に長く勤めていてほしい」という考えがあります。今回は、自分に適した働き方で勤務を続けている、従業員お二人にお話を聞きました。野田幸■子■さん(76歳)は、松山容器が力を入れている「廃棄物の再資源化」に貢献し、天野専務取締役が「金属類を選別するたしかな目と技術を持つ、なくてはならない存在です」と敬意を表するベテランの一人です。野田さんは、同社に入社して46年。家庭から出された鍋やフライパン、食器、日用品などの資源ごみのうち、リサイクル可能な銅や真ちゅう、ステンレスなどの素材の物を選別する作業を担当して約30年になります。表面だけ金属のように処理された物もあり、選別は簡単ではありません。「だんだん見分けられるようになりました。見た目、持った感触、重さ、叩いたときの音、錆びなどを見ます」と野田さん。目の前に積まれた物を手に取り、次々に分類していきます。選り分けた金属類は、専門のリサイクル業者へ送り、再資源化されるそうです。野田さんは現在、平日は8時30分から17時まで、土曜日は半日勤務を続けています。「気がついたら、この歳でも仕事をしていました」と笑顔で話経験を重ねてつちかった「目利き」で、再資源化可能な金属類を素早く選り分ける野田幸子さん2023.63460歳定年後、希望者全員65歳まで継続雇用する
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