エルダー2023年6月号
38/68

定年後の生き方を見越して50代から地域に軸足を移す準備をしてきた阪口さん。民生委員も12年にわたり引き受けてきた。広い角度からの生涯現役のモデルといえる。高齢者よ、いまこそ社会の先頭に立とう土に学び、土に生きる第回■■■■■■2022(令和4)年9月時点での、日本の高齢化率は29・1%※となりました。65歳以上が全人口の約3割を占める時代だからこそ、生涯現役で働き続けることはもちろん、そこからさらに一歩先を目ざして、高齢者が社会を支える先頭に立つべきだと私は思います。そのためにも、一人ひとりが生きがいを持って活動できる環境が整備されるよう願っています。私自身のことを語る前に、いま一番伝えたいことから話を始めさせてもらいました。私は大阪府高■石■市■の生まれです。父は戦死し、母は残された2人の息子と父の両親のため懸命に働いていたので、早く手に職をつけたいと府立の工業高校に進みました。漠然とエンジニアの仕事に憧れ、情報機器分野のパイオニアといわれた大阪市内の技術商社に就職が叶いました。以来、証券会社や銀行などの会計機を保守する仕事に従事、その後、東京支店に異動、埼玉県所沢市に移り住みました。60歳の定年まで勤めあげ、それから3年間は系列会社に勤務しました。1980年代後半ころから日本の企業にも週休2日制が導入され、「せっかくの休日を有意義に過ごしたい」と思うようになりました。50歳のとき、自宅の向かいの空地の畑を借りて作物づくりに挑戦、土に触れる喜びを知るきっかけとなりました。報委員募集に応募し、同センターの広報活動にたずさわります。折しもセンター創立30周年の記念誌を作成することになり、編集委員として参加しました。現役を終えても人の役に立てることが励みになり、センターとの縁が深まっていきました。農村地帯ですが、農家の高齢化もあり、休耕地が増えてきました。所沢市シルバー人材センターには、家庭菜園の経験が豊富で農業に関心がある会員が多く、「自分たちで休耕地を活用したい」という声があがりはじめました。もともと営農事業はシルバー人材センターの定款にはありませんが、当時の事務局長がかつて市の農政課長でいたことから、知り合いの農家に協力を呼びかけてくださり、2013(平成25)年5月、所沢市の支援のもと、西狭山ケ丘にシルバー農園を創設しました。当時70歳の私も発起人に名を連ね、営農グその後、所沢市シルバー人材センターの広所沢市の三■富■新■田■は江戸時代に開拓された営農グループ阪■■口■■俊■■■治■2023.636※  総務省統計局「人口推計(2022年9月15日)」 阪口俊治さん(80歳)は、技術商社勤務の後、所沢市シルバー人材センターに入会。現在は営農事業推進の先頭に立っている。高齢化率が約3割を占める日本の現状をみながら、「高齢者こそ社会を支える存在になるべきだ」と力説する阪口さんが、ロマンあふれる生涯現役の未来を語る。所沢市シルバー人材センター高齢者に聞く82さん

元のページ  ../index.html#38

このブックを見る