いて個々の給与が決まりますが、ジョブ型は、社員が従事する職務の内容や成果・責任を「職務記述書」としてオープンにします。そのポストについて、会社と従業員がその都度外部労働市場を参照し、対等な立場で賃金待遇を話し合い、雇用契約を交わします。ジョブに対するベスト人材を確保したい会社としては、内部登用とともに外部採用も視野に入れるので、人材の適正価格を常に意識して賃金を決めようとします。このように経営がデザインした組織編制に基づく個々のポストやジョブに対し、期待される業績と必要な賃金水準を対比させつつ、事業として総額人件費管理を行いながら最適人材を戦略的に調達・配置していきます。そこでは、生産性の高い組織をつくっていく資本主義的な人材管理が、いわばあたり前に行われます。これを働く人から見ると、ポストの定員・職務内容・報酬が決まっており、業績に基づくボーナスは別として、個人の能力や業績が多少アップしても仕事が変わらないかぎり大幅な昇給はありません。ポストがなければ昇進もないので、個人にとって決してやさしい環境ではなく、自助努力でスキルを磨き、キャリアアップを図るほかありません。このままでは限界があると判断した場合は、自分でキャリアを築くため、外部に機会を求めて転職することになります。(Job Grade)に格づける結果、社内・社外を問わず、採用する側と働く側との間で絶えず職務と人のマッチングが進むため、社会全体として低収益部門から高収益部門に人材が移動し、高い潜在成長力が維持されることが期待されます。日本企業が生え抜き人材の採用・育成にこだわり、閉鎖的な同質性・モノカルチャー・囲い込み型の日本型コミュニティに走りがちな傾向があるのに対して、外部労働市場に対して常にオープンなジョブ型雇用人事のほうが、企業にとっては戦略的な鋭い経営感覚が、社員にとってはキャリア志向を持ちやすいという点がご理解いただけるのではないでしょうか。ジョブ型雇用人事の設計度定式化されています。の区分と責任階層・職種別の職務ポジションを編制する行動基準のディクショナリーに基づいて職務記述書(Job Description)を作成するを定量化する職務評価を行って職務等級ポリシーに基づき職務ごとに支給する職務組織設計…事業戦略に基づき最適な組織2職務と成果責任の定義…職務内容および職務評価…職務の難易度や責任の重さ報酬設計…賃金の世間相場や会社の賃金導入手順はある程給/成果給の上限・標準・下限の金額を決める。また企業・部門業績と個人の貢献度に連動した短期業績賞与の配分基準を決める。業績期待値、人材の採用・リテンション、世間相場の配慮に基づき個別の基本給を決め、物価・賃金動向に基づき賃金改定を行う。に事業目標に基づく組織課題の分析から個人の目標設定、実績のふり返り、業績評価/行動評価、フィードバックを行い、人材の動機づけとキャリア支援、賞与と賃金改定の評定などを行う。ル、将来の有望な職務の選択肢、将来就きたい職務の必要スキル等の情報提供を行い、社員のスキルアップを支援する。ただし、ジョブ型雇用人事をそのまま日本企業に持ち込もうとすると、柔軟な配置・異動がやりにくくなったり、人件費が一時的に膨張するなどのデメリットに直面します。次回はこの点も考慮に入れ、これまでのヒト基準の人事賃金制度を組織側から仕事基準に修正する「役割給」の考え方を紹介しながら、内実のある高齢者の人材活用を実現する道筋について解説します。5個別報酬管理…採用・配置する職務内容、人材マネジメント…組織責任者を中心キャリア支援…現在の職務の必要スキシニア社員のためのシニア社員のための431・7641エルダー「「ジョブ型ジョブ型」」賃金制度賃金制度ののつくり方つくり方
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