エルダー2023年6月号
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Q2労働契約法制および労働時間法制の改正労働関連法令の改正予定について知りたい今後予定されている労働関連法令の改正やその対応について教えてください。手続きを取っていたことも考慮して、変更の相当性も肯定されました。そのほか、年金制度の廃止を行った事例として、類似の改廃条項に基づき、会社分割などにともない、年金制度を廃止した事例(東京高裁平成21年10月28日判決)においては、年金としての支給ではなく、一時金としての支給という形に切り替えたことについて、企業年金の廃止についてはその効力を否定する裁判例が多いなか、企業年金制度の改正によ12024(令和6)年4月1日を施行時期として、労働契約法制および労働時間法制に関する省令改正が予定されています。主な項目としては、無期転換ルールに関する事項を含めた労働条件明示事項の追加、裁量労働制る負担増が生じたことや、実際の運用利回りと予定運用利回り(4%)が大きく乖離していたことから差額の追加負担を会社がせざるを得ず、不足金7億円を補填するなどしていた状況を加味して、その変更の必要性を肯定し、従業員に対して一時金(1・5%の利回りによる割り戻し)による支給制度へ移行することを説明していたうえ、1人を除き全員の同意が得られていたことなどから、変更の有効性が肯定された例があります。に関する改正で、幅広い事業者にとって関係する省令改正となります。2労働基準法第15条には、労働条件として明示が義務づけられている事項が列挙されています。今回の改正では、これに、①通算契約期間または有期労働契約の更新回数の上限、②就業の場所および従事すべき業務の変更の範囲が追加されます。連で、①を定めようとする場合には、あらかじめその理由を有期雇用労働者に説明することが求められることになるほか、無期転換申込権が発生する有期労働契約を締結(通算して5年間を超える有期雇用契約を締結)するときには、無期転換申し込みに関する事項および無期転換後の労働条件について書面を交付する方法で明示しなければならなくなります。労働条件は、労働条件通知書または雇用契約書などで明示されているのが通常と思われますが、雇用形態にかかわらず、②就業場所および従事すべき業務の変更の範囲を明記することが必要となります。これまでは、就業場所および従事すべき業務のみが記載事項でしたが、今後は、これらの変更の範囲を明記することが必要となります。従来の記載事項では、あくまでも当初の就業場所や従事すべき業務の範囲を示すだけであったことから、この記載から職場限定や職種限定の合意があったとは解釈されないことが通常でしたが、変更の範囲を明示することにより、職場限定や職種限定に関する合意として成立することが多くなりそうです。さらに、無期転換ルールの周知徹底との関また、これらの記載事項は、同一労働同一労働条件明示事項の追加無期転換ルールの周知徹底、労働条件明示事項の追加、裁量労働制の改正などが予定されています。2023.644A

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