エルダー2023年7月号
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旧高齢法の規定である65歳までの高年齢者雇用確保措置(以下、「雇用確保措置」)等は次の通りです。第一に、企業が定年を定める場合はのうえで65歳までの雇用機会を確保するため、企業に対して図表2の上段に示す三つの制度のいずれかを雇用確保措置として講じる義務が設けられていることです。つまり、企業は65歳まで自社あるいは自社のグループ企業で「雇用」する義務が課せられていました。新高齢法では、右記の雇用確保措置に加えてして図表2の下段に示す五つの制度のいずれかを「高年齢者就業確保措置」(以下、「就業確保措置」)として講じる努力義務が新たに設けられました。旧高齢法と比べた新高齢法のおもな特徴は次の2点です。第一は、「自社グループ外での継続雇用が可能になった」ことです。③の継続雇用制度(再雇用制度、もしくは勤務延長制度)の導入について、雇用確保措置では60歳以上65歳未満は自社と特殊関係事業主(自社の子法人等、親法人等、親法人等の子法人等、関連法人等、親法人等の関連法人等)のみとしていましたが、就業確保措置では65歳以上70歳未満の高齢者に対してそれらに加えて、「他の事業主」が追加されました。すなわち、自社の高齢社員が継続雇用制度で働く場が自社や自社グループにとどまらず他社にまで拡大されたのです。たことです。就業確保措置の①~③の制度は、これまでの自社あるいは他社で「雇用される働き方」(以下、「雇用措置」)なのに対し、④と⑤の制度は「雇用によらない働き方」で「創業支援等措置」といいます。④は会社から独立して起業した者やフリーランスになった者と業務委託契約を結んで仕事に従事してもらう方法、⑤は企業が行う社会貢献活動に自社で働いていた高齢社員が従事する方法です。働く人たちの多様な特性やニーズに応えた働き方として、今回の改正で創業支援等措置が設けられました。この創業支援等措置を導入する場合、企業は過半数労働組合等※1の同意を得て導入することが求められます。や他社での「雇用」に限定せず、フリーランスとしての業務委託などの働く場の選択肢が示されていることから「就業」としています。3高高齢者雇用の現状第二は「雇用によらない働き方」が対象になっこのように65歳以降は自社(自社グループ)齢者雇用の現状を、政府統計から確認して9図表2 新高齢法の概要高年齢者雇用確保措置 (義務)高年齢者就業確保措置 (努力義務)(注)「特殊関係事業主」とは自社の子法人等、親法人等、親法人等の子法人等、関連法人等、親法人等の関連法人等を示す出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000694689.pdf)をもとに筆者作成※1 過半数労働組合等…労働者の過半数を代表する労働組合がある場合には労働組合を、労働者の過半数を代表する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者をそれぞれさす①65歳までの定年引上げ② 定年制の廃止③ 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入 (特殊関係事業主〈子会社・関連会社等〉によるものを含む)①70歳までの定年引上げ② 定年制の廃止③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入 (特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入⑤70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入 a.事業主が自ら実施する社会貢献事業  b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業70歳までの就業機会を確保するため、企業に対雇用措置 (雇用される働き方) 創業支援等措置 (雇用によらない働き方)60歳以上としなければならないこと、第二にそ制 度内 容

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