エルダー2023年7月号
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みます。図表3は2006年(2004年改正の「高年齢者雇用確保措置義務化」の施行年)、2013年(2012年改正の「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止」の施行年)、2021年(2020年改正の「高年齢者就業確保措置の努力義務化」の施行年)の3時点における高年齢者雇用確保措置の実施状況と高年齢者就業率を整理したものです。高年齢者雇用確保措置を実施している企業(高年齢者雇用確保措置実施企業)の割合は右肩上がりの拡大傾向にあります(2006年:制度の対象者を限定できる仕組みの廃止」を契機に、ほとんどの企業で65歳までの雇用環境が整備されました。こうした動きにあわせて希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合(2006年:33・0%、2013年:62・4%、2021年:83・5%)も右肩上がりの拡大傾向にあり、2021年では約8割の高水準にあります。なお、70歳以上まで働ける企業の割合は希望者全員が65歳以上まで働ける企業と比べ低い水準(2006年:11・6%、2013年:の、70歳就業時代に向けて着実にその割合は増えており、2021年では約4割に達しています。次に高年齢者の就業率を確認すると、60歳から64歳までの「60歳代前半層」の推移は2006年(52・6%)、2013年(58・9%)、2021年(71・5%)と右肩上がりの上昇傾向にあります。そのなかでも2013年から2021年までの8年間の上がり方(58・9%→71・5%:12・6ポイントの上昇)は2006年から2013年へのそれ(52・6%→58・9%:6・3ポイントの上昇)と比べて大きく、多くの企業で一般的な定年年齢の60歳を迎えた高齢者が引き続き働いている状況にあることがわかります。60歳代後半層(65~69歳)の3時点の就業率の推移についても、60歳代前半層と同じ傾向(①右肩上がり上昇傾向、②2006年から2013年の上がり方に比べた2013年から2021年までの上がり方が大きいこと)が確認できます。60歳代前半層の就業率が上昇しているのは年金受給開始年齢の引上げだけではなく、ライフスタイルの変化もかかわっており、60歳代後半層の就業率の推移――水準は60歳代前半層が低いものの、増加傾向にあること――が物語っています。2021年現在、以上は約5・5人に1人(18・1%)が働いている状況にあります。こうしたなか、70歳就業10図表3 高年齢者の雇用と就業の状況(単位:%)※2 2021年は51人以上の規模の集計が行われていないため、31人以上の規模企業の値行われていない。「就業率」は1年の平均値出典:厚生労働省「高年齢者雇用状況等報告」、総務省統計局「労働力調査」をもとに筆者作成16・7%、2021年:35・7%)にあるもの65歳以上の約4人に1人(25・1%)が、70歳2004年改正の「高年齢者雇用確保措置義務化」の 施行年高年齢者雇用確保措置実施企業希望者全員が65歳以上まで働ける企業70歳以上まで働ける企業60~64歳65~69歳65歳以上70歳以上99・9%※2)。特に2012年改正の「継続雇用84・0%、2013年:92・8%、2021年:雇用状況就業率2006年 (平成18年)2012年改正の「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止」の施行年84.033.011.652.634.619.413.32013年 (平成25年)2020年改正の「高年齢者就業確保措置の努力義務化」の施行年92.8(92.3)62.4(66.5)16.7(18.2)58.938.720.113.12021年 (令和3年)(99.9)(83.5)(35.7)71.550.325.118.1(注)「雇用状況」は51人以上規模企業。( )は31人以上規模企業で各年6月1日時点の割合、2021年は「51人以上規模企業」の集計は

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