エルダー2023年7月号
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1窯業A社再雇用後も同じ業務をフルタイムで続ける場合、正社員と同じ賃金・評価制度を適用事例ている先進企業の多くが実施している自社で雇用するケースを中心に考えてみると、平成期を通して多くの企業は高齢社員の活用を経営成果に貢献する戦力、つまり戦略的活用への転換を進めてきました。令和期における高齢社員の活用は引き続き戦略的活用を推進していくことになりますが、総論で述べたように今後は戦略的活用の進化が求められます(図表2)。つまり、現役社員と同じように経営成果に貢献する役割を高齢社員にも求めることを意味します。高齢社員のモチベーションを維持・向上させるためにも、2021年4月から中小企業も含め全面適用された同一労働同一賃金もふまえ、統合型人事管理のもと人事管理の公平性の観点から現役社員と同じように働きぶりに応じた処遇︱︱賃金・評価制は、主力として活躍しているベテラン社員が長く働き続けられる職場環境を整備するため、2018年に雇用制度を見直し「65歳定年、希望者全員70歳までの継続雇用制度、基準該当者の年齢上限なしの再雇用」としました(図表3)。再雇用後も同じ業務をフルタイム勤務で続ける場合、定年時の賃金水準は見直されるものの、賃金・評価制度は正社員と同じ制度を適用しています。なお、昇給は正社員と同じように実施されます。国内に事業拠点9カ所を展開する窯業A社度︱︱を整備することが必要となります※1。じ賃金・評価制度を形成した事例として、A社の取組みを紹介します。この事例の特徴は、継続雇用(再雇用)後もこれまで担当していた業務をフルタイム勤務で続ける場合、賃金水準は見直されるものの、正社員と同じ賃金・評価制度が適用されている点です。こうした統合型人事管理のもと現役社員と同企業の対応15特集新任人事担当者のための高齢者雇用入門図表2 70歳就業時代の人事管理の考え方図表3 改定後の賃金・評価制度の概要※1  具体的な手順などについてはJEEDが作成した「70歳雇用推進マニュアル」(2021年)を参照くださいhttps://www.jeed.go.jp/elderly/data/manual.html※筆者作成出典: (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)(2022)『70歳雇用推進事例集2022』をもとに筆者作成65歳までの雇用確保の義務化実質65歳定年制の整備65歳までの雇用制度整備と70歳までの就業機会確保戦略的活用への転換65歳定年+70歳までの継続雇用制度(希望者全員)+上限なしの継続雇用制度(基準あり)正社員と同じ制度、ただし水準は見直し正社員と同じ制度70歳までの就業機会確保の努力義務化戦略的活用の進化国の高齢者雇用政策雇用の基本方針高齢社員の活用方針人事管理の考え方70歳までの継続雇用制度(希望者全員)エルダー人事施策雇用制度賃金制度評価制度平成期(後半)分離型改正後の内容令和期統合型

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