エルダー2023年7月号
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1はじめには、年々増加する高齢者の労働災害の防止対策に取り組まなければなりません。本稿では、2020(令和2)年3月に厚生労働省が発表した「エイジフレンドリーガイドライン」(高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン、以下、「ガイドライン」)のポイント、大手企業の高齢者の安全と健康確保策の好事例などを紹介します。2高高齢者の労働災害発生率の高さ齢者の労働災害発生率(年千人率※1で示す)をみると、60代後半は、労働災害発生率がもっとも低い20代後半と比べ、男性で2・0倍、女性で4・9倍とかなり高くなっています(図表1)。おもな原因には、筋力の低下、バランス感覚の低下など、加齢にともなう心身機能の低下があげられます。3ガガイドラインのポイントなどイドラインの構成は以下の通りです。趣旨事業者に求められる事項把握応じた対応労働者に求められる事項国、関係団体等による支援の活用ガイドラインの構成第1 第2 1.安全衛生管理体制の確立等2.職場環境の改善3.高年齢労働者の健康や体力の状況の4.高年齢労働者の健康や体力の状況に5.安全衛生教育第3 第4 エイジフレンドリーな職場をつくるため、事業者に求められる事項を定め(第2)、一方、高年齢労働者には事業者への協力を求め(第3)、国などによる支援制度を紹介しています(第4)。(1)ガイドラインのポイント本ガイドラインのポイントは、第2の3、4にある高年齢労働者一人ひとりの健康や体力の状況を把握し、それに応じた対策を求めていることです。高齢になるほど、心身機能の個人差が大きくなります。古いデータとなりますが、図表2は、暦年齢(実年齢)に応じた生理的年齢(個々人が持つ心身機能の程度を年齢化したもの)の幅、すなわち個人差をみたものです。例えば、実年齢21特集新任人事担当者のための高齢者雇用入門図表1 年齢別・男女別労働災害発生 千人率エルダー 2.0倍 4.9倍男性女性5.004.504.003.503.002.502.001.501.000.500.002.05※1 年千人率……1年間の労働者千人あたりに発生した死傷者数(休業4日以上)の割合5.004.504.003.503.002.502.001.501.000.500.004.76     70歳まで安心・安全に働き続けるため、企業4.060.824.0015〜19歳20〜24歳25〜29歳30〜34歳出典:厚生労働省「労働者死傷病報告」(2018年)、総務省「労働力調査」(2018年)から作成35〜39歳40〜44歳45〜49歳50〜54歳55〜59歳60〜64歳65〜69歳70〜74歳75〜79歳80〜84歳85歳以上15〜19歳20〜24歳25〜29歳30〜34歳35〜39歳40〜44歳45〜49歳50〜54歳55〜59歳60〜64歳65〜69歳70〜74歳75〜79歳80〜84歳85歳以上

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