エルダー2023年7月号
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①高齢者は暗い場所で視力が著しく低下するた②バランス感覚や筋力が低下し、とっさにうま③滑って転倒することを防止するため、床の濡れ④筋力の低下した高齢者は重量物を抱えると腰・個々人の心身機能や健康の状況を把握して、め(低照度下視力)、職場の照度を確保するく動けない高齢者は、階段から転落しやすく、段差につまずきやすいため、階段には手すりをつけ、通路や職場内の段差をなくすを即座に拭き取る、滑りにくい床材(床塗装)を採用する、耐滑性にすぐれた靴を着用する痛になりやすいため、持ち上げ補助機器(パワーアシストスーツなど)を装着する①勤務形態、勤務時間の工夫②ゆとりのある作業スピード③無理のない作業姿勢④注意力、集中力などを必要とする作業への配慮⑤腰への負担軽減ます。これは、実年齢65歳の人のなかには、50代の若々しい人がいる一方、心身機能の衰えで70代のようにみえる人がいることを表します。このように生理的年齢は大きな個人差があるため、事業者は職場で働く高齢者一人ひとりの健康や体力の状況を把握することが求められています。(2)事業者に求められる事項ガイドラインでは、事業者に対し、「経営トップは安全方針を表明し、安全衛生管理体制を整え、その上で、事業場に潜む高年齢者のリスクを洗い出し、それに対しリスク低減対策を講じる」ことを求めています。リスク低減対策には、ハード対策とソフト対策があります。a ハード対策ハード対策の具体例としては、などがあげられます。このような心身機能の低下を補うハード対策のほとんどは、高齢者のためだけではなく、そこで働くすべての人々にとっての安全な職場環境につながります。この点は強調すべきです。b ソフト対策一方、ソフト対策の具体例は次の通りです。作業内容や作業時間などを調整する。短時間勤務、隔日勤務、交替制勤務などの導入を検討・高齢者は、時間に追われる仕事は不得手でミ・加齢により筋力、関節の動き、柔軟性などが・加齢により注意力や判断力が低下するため、・筋力の低下から腰痛を防止するため、持ち上する。加齢とともに、昼から夜(あるいはその逆)への勤務シフトの変更に体を慣らすことがむずかしく、夜勤には十分な配慮が必要となるスもしやすい。自主的に作業負荷をコントロールできるように配慮する低下するため、身体を曲げ伸ばす動作、ねじれ姿勢など不自然な作業姿勢を減らす。また、バランス感覚が低下し身体の安定がとりにくくなるため、長時間の立ち作業を減らす複数の作業を同時進行させないようにする。また、とっさにうまく動けないため、素早い判断、行動を要する作業を減らすげ重量の制限、腰痛になりにくい持ち上げ姿勢の教育、腰痛予防体操の実施など健康や体力の状況をふまえた対策事業者は、健康診断、職場での体力チェックc などにより、高齢者一人ひとりの基礎疾患の有無、体力の状況を把握し、それに基づき労働時生理的年齢22図表2 加齢による暦年齢と生理的年齢の個人差の拡大65歳の人の生理的年齢の個人差は16年にも及び100908070605040302010(歳)25出典:斎藤一、遠藤幸男:高齢者の労働能力(労働科学叢書53)、労働科学研究所、1980から作成4年35455565暦年齢16年14年12年8年7585(歳)20年18年

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