第4回人手不足が続き、10年後が不安です!33マンガで学ぶ高齢者雇用エルダー内田 賢(うちだ・まさる)東京学芸大学教育学部教授。「高年齢者活躍企業コンテスト」審査委員(2012年度〜)のほか、「70歳までの就業機会確保に係るマニュアル作成・事例収集委員会」委員長(2020年度〜)を務める。プロフィール内田教授に聞く少子高齢化が進む日本では、若手にかぎらず働き手の確保がこれからむずかしくなります。高齢者雇用に取り組むことで、企業は現在の人手不足に対処できるだけではなく、中長期にわたって安定的に人材を採用できる仕組みがつくれます。いま働いている人たちの定年や定年後再雇用の上限年齢を延長するか廃止すれば、経験豊かなベテランをより長期にわたって活用できます。そうすることで社員の安心感は高まり、会社へのいっそうの貢献も期待できます。「新規採用がむずかしいのにベテランが来年いなくなってしまう」、「数年後の人手不足が心配」といった悩みが解消されるでしょう。とはいえ、単なる定年廃止や延長では期待した効果を十分には上げられません。マンガにあるように高齢社員の体力や五感の低下に対応した職場環境や設備の工夫、意欲を高める人事評価や処遇制度の構築、短日数・短時間勤務など高齢社員のライフスタイルに合った働き方の提供が欠かせません。一方、定年廃止や延長は、若手・中堅社員の採用や定着に関して長期的効果も生みます。高齢者雇用に取り組む過程で高齢社員が働きやすい職場や作業環境が実現しますが、これは若手や中堅、子育て中の社員にも歓迎されます。また、勤務時間が柔軟な会社に魅力を感じる人々は若手を中心に多いのではないでしょうか。長く働ける会社は働き手を引きつけます。ある企業では定年延長によって社外から経験豊かな人材を多数獲得できました。その多くは地場で同業の60歳定年企業からの定年退職者や転職者だったそうです。高齢社員はもちろんのこと、これから高齢期を迎える社員の意見や要望を丹念に聴き、職場環境の改善に加えて個々人の状況に即した働き方のメニューを用意する、これらの取組みによって会社の評判が高まり、少子高齢化時代でも意欲ある人材の採用を容易にします。集中連載解 説 少子高齢化などの影響により、人手不足や採用難を実感している企業は少なくないのではないでしょうか。会社の継続的な発展・成長のためにも、業務にまつわる知見やノウハウの次世代への継承は欠かせませんが、そんなときにこそ活用したいのが、高齢社員。業務に精通した高齢社員の雇用を延長することは、業務の円滑な遂行はもちろんのこと、実は人材採用の課題を解決することにもつながります。高齢者が長く働ける職場環境を整えることが意欲ある人材の採用を容易にする高齢者雇用のポイント教えてエルダ先生! こんなときどうする?Season2
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