■■■■■■■■■■■■まわりでもホメるチエ者「チエのある者は、そのチエを使うて鼻の頭を低くするように」江戸時代の学者が門人の少しチエのあるヤツに注意した言葉です。チエのあるヤツの鼻の頭がドンドン高くなったからでしょうね。しかし、まわりもそのチエを認め、本人も、「たしかにオレはチエ者だ」と認め、そのチエを大いに世の中のために役立てた人物がいます。そのため、この人はまわりから憎まれませんでした。むしろホメられました。その人の名は松■平■信■綱■。若いころからチエがあり、幕府での官名が伊■■豆守■だったので、人びとは、〝チエいず〟と呼びました。あるとき江戸城で火災が起こり、大奥でキャーキャー騒ぎが起こりました。仕える女性たちの騒ぎです。そこへ小■姓■(秘書)の信綱がとびこみ、大声でこういいました。「みなさん、お騒ぎにならずに。となりの部屋からまんなかのタタミを一枚ずつひっくりかえしておきました。それを辿■ってください。庭へ逃げられます。くれぐれもおちついて」侍女たちはそのとおりにし、みんな無事に助かりました。信綱のチエの評判はたいへんなものです。それにイケメンでしたから、さらに名はあがりました。チエを重ねて大名になり、川■越■(埼玉県)の城の城主になりました。その後、町から火が出ました。信綱は、2023.734[第128回]
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