県全域で防災活動を展開し、啓蒙活動に邁進(■■■■■■■■司■さん63歳)は防災士の資格を持ち、フタガミ「出社時間を早められるので、朝早く出社して作業の時間に充てています。年齢を重ねてもプレッシャーがかからない仕事をさせてもらえ、ストレスなく働けるところもよいですね。また教え子が各店舗にいて、立ち寄った際には、会話ができるのもうれしいですね」と答えてくれました。ホームセンター部販売促進課に所属する楠■瀬■淳■防災アドバイザーとして県内の小中学校・高校の防災教室や企業・団体・地域の自主防災会の講師を務めています。高知県は南海トラフ地震が危惧されている地域。巨大地震の防災対策強化が喫緊の課題となっています。楠瀬さんはDIYの知識を活用して模型や教材を企画し、理解しやすい防災教室を目ざしてきました。「人の命にかかわることですので、小学生でもわかりやすいように教材をつくってきました。『防災教室ができてよかった』、『ありがとう』という言葉が直に聞けることが何よりうれしいです」とやりがいを語ります。わかりやすい実演があり、災害の擬似体験ができるプログラムは評判を呼び、2005(平成17)年に店舗のイベントとして始まった防災教室の実施回数は、この18年で800回を超えました。「防災といえば楠瀬」と社内に浸透し、店舗スタッフにも協力者が増えました。防災の知識が買われ、防災関連の商品について品質などの意見を求められ、売り場に反映されることもあります。活動は社外にも知られ、同社は県内11市町村と防災対策活動への協力協定を結ぶまでに。「防災教室は社会貢献の一環として高知県民のために行っていることです。また企業理念に基づいたものですから」とサラリと述べる楠瀬さんですが、後進としてともに防災教室でアドバイザーを務める岡■林■哲■史■さんは「楠瀬さんはとにかく熱意がすごい人です」と評します。「セミナーのマニュアルを一から開拓して『高知の防災教室はフタガミに相談したらいい』といってもらえるまでになりました。つねに防災対策について勉強していて、新しい知識を身につけています。人あたりがよく気兼ねなく相談できる雰囲気があって、知識だけでなく応用力が必要な仕事の相談やアドバイスがもらえて、楠瀬さんがいてくれるだけで本当に助かっています」と話す語気にも力がこもります。楠瀬さんに働きやすい点について聞くと「指示されたままに動く仕事だったら自分には合っていなかったでしょう。気質に合わせて伸び伸びと仕事ができるのがよかったと思います。これからも防災を広げるために『新化』していきます」と答え、さらに気持ちを引き締めていました。寺本プランナーは取材を終え、次のように述べました。「高齢従業員がそれぞれの能力・技術・アイデアを大いに発揮し楽しく働いていることをあらためて感じました。今後、先進事例を紹介しながら制度改善の支援をしていければと考えています」西森部長は「高知県は他県と比較しても〝超〟高齢社会に直面しています。20年後に65歳以上が約半数を占めるといわれており、シニア世代の雇用創出は事業存続にもかかわってくるでしょう。そうした課題に対し、当社においてもシニア世代の給与体系や評価制度など新たなルールづくりのほか、社内の設備改善が今後の課題にもなってくると思います」と述べ、将来の高齢者雇用の方向性を示唆しました。(取材・西村玲)39エルダー自社制作の防災模型を扱う楠瀬淳司さん(左)と後進の岡林哲史さん(右)
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