エルダー2023年7月号
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■■■前回、シニア人材である深■谷■弘■一■さんとの出会いのお話をしましたが、今回は具体的な契約や深谷さんが果たしている役割などをお話しします。当社は同世代のメンバーがメインとなって立ち上げた会社だったので、当然創業した自分たちですべての業務をやりきるんだという考えが大前提としてありました。ですので深谷さんには当初、週1回数時間出社して、担当技術者の具体的な課題に助言してもらうことをメインの業務としてお願いしました。こうした技術顧問やアドバイザー契約では、ある目的があってノウハウを教えていただいたりアドバイスをいただいたりして、それが解決すると当然満期を迎え、技術顧問としての役割は終わりになるのが普通です。しかし、当社では製品開発が前進していき業務が増えるにしたがって、深谷さんにアドバイスを求める課題が多くなり、アドバイスだけでなく実際の開発や設計にかかわる実務を担当していただくなど、依頼する業務内容や報酬体系が変化していきました。すが、「この技術課題を解決したらいくら」という成果がそのまま報酬額に直結するのではありません。業務の専門性などに応じて単価を協議して決め、各業務の稼働時間に応じて報酬額を決めています。専門性の高い業務は高い報酬を設定しています。その際、気をつけていることは、専門家としての評価を十分に加味した単価になるよう設定することです。よくOBを再雇用した際に、報酬をすごく安く抑えるといった話を聞きますが、当社ではそういうことはしたくなかったので、最初に互いによく話し合ったうえで時間単価を決め、働いた時間分だけ報酬を支払うというシステムとしたのです。互いの信頼関係に基づいたうえで、働いた時間を毎月確認しながら契約を継続していきました。現在の深谷さんの契約形態は業務委託契約でこうして長くいまの関係が続いているのは深専門家としての評価を十分に加味信頼関係を大切にした契約形態シニア人材との契約のポイントと求める役割とはシニア人材側が自分自身の契約形態を決めることも大切スタートアップシニア人材奮闘闘記記2023.750フォトシンスフォトシンス株式会社株式会社PPhotosynthhotosynth取締役取締役 起業したばかりのスタートアップ企業においては、はじめてのことばかりで経営や事業にはうまくいかないことや課題にぶつかることが数多くあります。そこで、「スタートアップ企業にこそ、経験豊富で実務のノウハウを持ったシニア人材が必要」という声もあり、実際に、その経験を活かしてスタートアップ企業で働く高齢者も増加しています。 このコーナーでは、スタートアップ企業に必要なシニア人材をどう見出し、活用し、活躍に結びつけていくかについて、実際にスタートアップ時にシニア人材を採用し、現在も活躍中である、株式会社Photosynthの熊谷悠哉取締役に、当時をふり返りながらシニア人材活用のポイントについて語っていただきます。熊熊■■■■谷谷■■■■ 悠悠■■■■哉哉■■22第回

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