「2025年問題」2025年は今後想定される問題の一つの起点「2025年問題」で指摘される主要な問題点2025年問題とは、団塊の世代(1947〜1949年生)の層が75歳以上となることによって引き起こされる問題のことをさします。この問題を理解するためには、まずは日本の人口の変化について押さえることが重要です。図表のグラフでは、吹き出しで〝団塊の世代〟として示されている部分が2020年においてもっとも長い棒グラフになっています。これは第一次ベビーブーム(新生児の出生が一時的に急増する)期に生まれた世代で、日本の年齢別人口においてもっとも層の厚い世代といわれています。一般的には65歳以上を高齢者として、65〜74歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者としていますが、隣りの2025年に目を向けると、団塊の世代の推移を示す矢印が後期高齢者の層に移動し、全員が後期高齢者になることが示されています。総人口のうちの比率でみると後期高齢者が18%、前期高齢者が12%、高齢者合計で30%に到達すると推計されています。さらに図表の右側を見ていくと2040年には後期高齢者は人口・比率ともにさらに増え、2065年には人口は減るものの比率は26%(高齢者全体では39%)と上昇を続けています。年の1億2615万人から、2065年には8808万人と、30%以上減少すると推計されています。今後は、総人口が急激に減少していくなかで、高齢者(特に後期高齢者)の比率が高まっていく社会になっていきます。〝2025年〟はあくまで問題の一つの起点であり、継続していくものととらえる必要があります。かかわる主要な問題点について見ていきます。①いっそうの人手不足の中心である20〜64歳の層は2020年と比較して、2040年には1395万人、2065年には2749万人減少し、総人口の50%を割り込む推計になっています。現在でも「正社員が不足している」と答える企業は66・5%(東京商工リサーチ「2023年企業の『人手不足』に関するアンケート調査」)に上っており、人手不足により事業継続が困難になると倒産に至ることもありますが(人手不足倒産)、2022年度では140件といわれています(帝国データバンク「全国企業倒産集計2022年」)。今なお、総人口については、2020(令和2)後期高齢者が増え続けることによる、人事に図表を再び参照すると、現在の日本の労働力2023.752株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。第36回■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典
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