エルダー2023年7月号
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「2025年問題」への対応00000000後、景気の大幅な減退や産業構造の変革がないかぎり、この人手不足感はよりいっそう高まるといわれています。②医療費・介護費用の増大「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」(内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省 付費の高齢者にかかわる部分を抜粋すると、2018年は介護10・7兆円、医療39・2兆円、年金56・7兆円が、2025年※1には介護15兆円程度、医療48兆円程度、年金60兆円程度、2040年※1には介護25兆円程度、医療70兆円程度、年金73兆円程度とかなりの増加が推計されています。これは、公的介護保険制度の適用対象は原則65歳以上、医療費の自己負担割合が6歳以上70歳未満は3割負担のところ、70〜74歳は原則2割負担、75歳以上は原則1割負担、年金給付年齢は原則65歳からと高齢者の増加にともない負担増大が確実に見込まれる制度になっていることが理由です。これらの問題への政府の対応として、問題点①では、高年齢者雇用安定法に基づく65歳までの雇用確保措置の義務化が2025年に完全実施※2、70歳までの就業確保措置の努力義務化が2021年より実施されています。また、健康経営■の推進や残業時間の規制が強化されるなど、健康を維持しながら働ける環境を整備し、高齢者の労働力を取り込もうとしています。「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命が、男性本21(第二次)推進専門委員会」(令和元年))とされるなか、65歳以上を高齢者として定義することや、75歳以上を働けない層とする前提が現状とあっていないという議論もあり、今後は働ける能力に応じた就業や負担の環境整備がいっそう進むことが想定されます。まれるなかで、75歳以上の自己負担割合の見直しが進められ、2021年の健康保険法等の一部改正により、2022年10月より一定以上の所得がある者については、自己負担割合が2割に変更されました(現役並み所得者は3割負担)。また、令和6年に予定されている介護保険制度の見直しについては、65歳以上の介護保険料や介護サービスを受けた場合の自己負担を所得に応じた負担に見直すことなどについて、2022年に本格議論がされました(現在も検討中)。また問題点②では、後期高齢者の増加が見込次回は、「人的資本」について解説します。平成30年5月21日)の社会保障給53エルダー図表 人口ピラミッドの変化(20〜64歳区分を含む)2020年(実績)出典: 実績値(2020年)は総務省統計局「国勢調査」、推計値(2025年、2040年、2065年)は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)出生中位・死亡中位推計」(各年10月1日現在人口)により厚生労働省政策統括官付政策統括室において作成※ 2020年の実績値は、図に掲載している推計値の後に公表されたものであることに留意が必要である(歳)100(歳)100(1971〜74年まれ)(歳)1009075歳〜  2,239万人(20%)807065〜74歳  1,681万人(15%)60504020〜64歳  5,543万人(50%)302010〜19歳  1,629万人(15%)2,0005001,0002,500(千人)72・68歳、女性75・38歳(厚生労働省「健康日(歳)1002025年(推計)2040年(推計)2065年(推計)総人口 1億2,615万人9075歳〜  1,860万人(15%)807065〜74歳  1,742万人(14%)60504020〜64歳  6,938万人(55%)30団塊ジュニア2010〜19歳  2,074万人(16%)5001,0001,5002,000※1 将来見通しについては、現状投影と計画ベースで数値が異なるため、○○程度とした※2 2025年3月31日の経過措置終了にともなうもの総人口 1億2,254万人団塊世代(1947〜49年生まれ)9075歳〜  2,180万人(18%)807065〜74歳 1,497万人(12%)60504020〜64歳  6,635万人(54%)30世代2010〜19歳  1,943万人(16%)5001,0001,5002,500(千人)総人口 1億1,092万人90807065〜74歳  1,133万人(13%)60504020〜64歳  4,189万人(48%)302010〜19歳  1,237万人(14%)1,5002,0002,500(千人)500総人口 8,808万人75歳〜  2,248万人(26%)1,0001,5002,0002,500(千人)■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典

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