人生にSenseofWonderを「ワーク・ライフ・インテグレーション」という言葉をご存じだろうか。ワークとライフを分けて、その調和を図っていく「ワーク・ライフ・バランス」とは異なり、ワークもライフも人生の重要な構成要素として統合してとらえ、両方を豊かにすることによって人生全体の充実を図る考え方をさす言葉。コロナ禍の影響もあり、リモートワークが増えて働き方の多様化が加速して進んでいるいま、新しい働き方の概念として注目を集めている。本書は、シリコンバレーでワーク・ライフ・インテグレーションに触れ、育児をしながらの海外赴任や管理職など多様な経験を重ねてきた女性の著者が、仕事も家庭も自分らしいインテグレーション(統合、融合)を実践していくための考え方と行動のヒントを紹介する。著者の中条氏は、しなやかに活躍するためのキャリアデザインやリーダーシップの研修・コーチングなどを行っており、経験と神経心理学に基づく研修は、ポジティブな気持ちを引き起こすと定評があるそうだ。本書にも、しなやかな活躍に向けて、背中を押してくれる言葉が散りばめられている。女性活躍をはじめ、男女ともに生き方の参考になる。しなやかな心とキャリアの育み方4段階で実現する心理的安全性中■■■条■■■薫■■■ 著/クロスメディア・パブリッシング/「いい年をしてこんなことを聞いたら、ばかにされるのではないか」、「現状がよいとは思わないが、ベテランに意見をいうのが怖い」。従業員がこのように感じている職場は、心理的安全性が低下しているのかもしれない。これでは、やる気も生産性も低下してしまうだろう。「心理的安全性」は、チームの生産性を高める重要な概念として米グーグルが2015(平成27)年に研究成果を発表して以降、世界の企業がこれを高めることに関心を寄せている。本書は、心理的安全性を、恥ずかしい思いや疎外感、罰などを恐れることなく、(1)仲間として認められ、(2)安全に学べ、(3)安全に貢献し、(4)現状打破に安全に挑戦できる、と感じられる4段階の状態があると整理。心理的安全性の高さは、「尊重」と「許可」の度合いによって決まり、4つの段階を経て発展するとして、それぞれについて解説している。組織が「尊重」と「許可」を多く与えれば与えるほど、メンバーはより強く心理的安全性を感じ、それを反映した行動をとるようになるという。若手、子育て世代からシニアまで、だれもが意欲を持って働き、能力を発揮できる職場づくりに取り組むうえでも役立つ一冊である。57エルダーティモシー・R・クラーク 著、1738円長谷川 圭 訳/日経BP/1980円※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します自分らしい仕事と生活を実践していくためのヒントを紹介「心理的安全性」を高め、だれもが恐れず意欲的に働ける職場へ
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