エルダー2023年8月号
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三み島し寛ひ之ゆまろき三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社HR第3部 シニアマネージャー1労はじめに働力人口の減少などを背景に、60歳超社員の活躍をうながしたいという企業が増えています。そのなかで、人事責任者からよくご相談を受けるのが、当社は「定年延長」を採用すべきか、「再雇用」を採用すべきか、という問いです。厚生労働省の『高年齢者雇用状況等報告(2022年)』※によると、65歳定年企業は毎年着実に拡がり22・2%まで増加するなか、各社はどう意思決定すべきか悩んでいます。本稿では、その問いに答えを出そうとする企業に向けて、参考となる視点や情報をご紹介します。2ま「定年延長」と「再雇用」の特徴ず「定年延長」と「再雇用」の具体的な仕組みが企業によって異なることは承知のうえで、典型例を見ながらそれぞれの特徴を確認します(図表1)。最初に定年延長の利点としては「60歳前からの継続的な貢献」を広くうながしやすい点があります。再雇用のように1年ごとに雇用契約を更新するのではなく65歳までの雇用が保証されるため、安心して働き続けられます。従来通り、フルタイムの労働時間で勤務してもらい、転勤・異動や出張、残業などを命ずることも検討しやすいでしょう。正社員として働くのであれば、従来と同様の目標や期待値をもって能力発揮することも求めやすくなります。一方で、留意す「定年延長」か「再雇用」か、※ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29133.html資料提供:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社65歳正社員期間の定め無しフルタイム勤務で残業あり60歳前までと同様(企業によって異なるが)59歳時点の賃金の80〜100%程度60歳嘱託社員など1年更新フルタイム勤務、もしくはパートタイム勤務60歳前と比較し簡素化、もしくは評価しない場合あり(企業によって異なるが)59歳時点の賃金から大きく減額し、60%程度分 類エルダー定年延長再雇用制度11特集どっちがいいの?「定年延長」と「再雇用」図表1 定年延長と再雇用制度の典型例定年年齢雇用形態雇用期間労働時間人事評価報酬水準解説意思決定するために

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