エルダー2023年8月号
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が、今回の制度刷新の根底にあります」これまで一般的な制度であった再雇用制度に、ジャパネットらしさを足してビルドアップしていった結果が今回の制度刷新へとつながっているのだ。では、再雇用による雇用延長ではなく、定年引上げ、定年制廃止などの議論はなされなかったのだろうか。これについて植村さんは、「もちろん定年を引き上げるか、再雇用とするかについての議論はこれまで行ってきましたが、結局、定年を引き上げることも、廃止することも、再雇用とすることも、ジャパネットで働き続けるということに何も変わりはありません。重要なのは『社員が長く働き続けられるためにはどのような制度がベストか』ということ。この議論の結果、再雇用制度を採用することになりました」とその経緯を語っている。再雇用後は、一社員として働くことが前提であり、マネジメントに就いていた社員もそこから降りて一般社員としての役割をになうことになる。ただし、長年勤めあげた結果としてのスキルはもちろん考慮したうえでのことだ。基本的には定年前と同じ部署に配属されることが多いが、定年を迎える前に自分の今後のキャリアについて申告するタイミングがあり、もし他部署で自分の人生を変えたいという希望があれば、人事部によるヒアリングのうえ、適性に応じて配置転換を行うこともあるという。こうした制度に着地したことについて植村さんは、「再雇用後の働き方について、実際に不安の声があったというのはありますが、一方で、現在再雇用の対象となるメンバーのなかには当社を創業当時のころから支えてきてくれた社員もいたというのは大きかったと思います。そういう方々が不安を感じることのないよう、自分の人生を考えて活き活きと働き続けてほしいという願いが込められています。当社を支えてくれた社員を何とかしてあげたいというのが、経営層と人事の共通の想いだったと思います」と語る。は、対象の社員からいくつもの感謝の言葉が寄せられ、好評である(図表2)。として、副業を可能としたことがあげられるが、現時点で制度を活用し、実際に副業を行っている再雇用の社員もいるという。書に、副業する会社名や業務内容、勤務時間、勤務日数などを記入して提出し、人事の許可が下りれば副業が可能となる。「申請書を見て人事がチェックするのは、まず健康第一ということ。オーバーワークになってしまっては意味がありませんので、体力や時間的に勤務形態に無理がないかどうかをチェックします。また、二つの会社で働くことになるので守秘義務に関する同意書を書いてもらいます」と植村さん。基本的にセカンドライフの充実が目的であるので、厳しいチェックとはなら2023年4月から実施された今回の制度セカンドライフサポート制度のもう一つの柱副業を行うには社内のシステム上にある申請再雇用後は一般社員と同じ役割1年契約は単位で更新となる副業のチェック項目は健康面と守秘義務を中心に資料提供:株式会社ジャパネットホールディングス会社が正社員だけではなく、嘱託社員についても制度を検討し、改善をしていることが嬉しいです。副業ができるようになったので、シルバー人材センターの登録なども考えてみたいです。あらためてセカンドライフサポート制度のよさを実感しています。こんなによい制度があるならば、がんばって70歳まで働きたいと思います。21特集どっちがいいの?「定年延長」と「再雇用」図表2 再雇用された社員の声エルダー

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