ほかの業界の定年退職者も採用人材不足に備えてロボット導入も検討■■■■全職員がワークライフバランスを考慮した働き方ができるように努めています。入所施設は、夜勤もある交代勤務で、シフトを組むのが困難なときもありますが、つねにだれかが育児休暇や時短勤務中であることがあたり前となるように、現場の体制や職員の意識向上に努めてきました」と話します。ワークライフバランスがとりやすいのは、「事業規模がある程度大きいからできていること」と堀畑施設部長は話しますが、日ごろから職場のコミュニケーションを重視していることに加え、年齢や勤務形態にかかわらず、全職員が年2回、直属の上司・施設長と面談をするなど、職員一人ひとりにしっかりと向き合い、意見や希望を聞く機会をつくることが土台になっているといえるでしょう。同法人では、勤続年数の長い職員が60代になったり、年金の受給開始年齢が引き上げられたことなどを背景に、7年前、当時62歳だった定年年齢を65歳へ引き上げました。さらに、本人が希望し、法人が認めた場合は、契約職員として70歳まで再雇用することも制度化しました。また、70歳以降も、運用により働ける環境があります。これらの改定に続いて約3年前には、ハローワークの呼びかけにより、介護とは異なる業界で定年退職となった高齢者の採用を始めました。「それまで〝採用〟といえば、介護の専門職のみを考えていたのですが、直接介護をしない業務を担当してもらう職員として、企業などを定年退職された方を、現在までに介護の周辺業務担当として3人、清掃担当として1人採用しています。これにより、介護職員が専門的な業務に専念できる時間が長くなり、ケアの質が向上するというメリットを感じています」(堀畑施設部長)こうした採用活動を今後も続けていきたいと考えている一方で、これからの課題について堀畑施設部長は次のように話します。「現在の介護周辺業務は、清掃、洗濯などの仕事にかぎられているので、その職員が持つそれまでの仕事経験や知識が活かせると同時に、やりがいを感じられるよう、業務の幅を広げていければと考えています。その職員ならではの力を発揮してもらいたいですね」野口プランナーが桜花会を初めて訪問したのは、2022(令和4)年2月のこと。「コロナ禍のためリモートによる面談でしたが、最初から熱心にご対応いただきました。高齢者雇用のメリットをお伝えするとともに、介護における体力的負荷を心配されていたため、ハード面として、介護ロボットなどの導入を、ソフト面として多様な勤務形態のメニューづくり(短時間勤務、若い職員が働きづらい時間帯の勤務など)などについてアドバイスを行いました」(野口プランナー)この提案に基づき、同法人では、介護ロボットの導入に向けた検討を行っているそうです。一方で、長く勤めている職員が定年を迎える年齢になるなか、「続けられる職員には、できるだけ長く勤めていてほしい」との思いがより強くなり、そのためにも「職員の話を聞き、その職員に合った働き方を実現することが、長く働き続けることにつながります」と話す堀畑施設部長。今回は、その考えを実践し、職員と桜花会とで話し合い、「いま、最適の働き方が実現できている」という、70代のベテラン職員にお話を聞きました。ライフケア大手門の開所時に、介護職員初任者研修修了のヘルパーとして入職し、勤続23年になる藤■松■涼■子■さん(71歳)。入職後からこれまで、特別養護老人ホームの現場で入居者の日常生活を支えています。じつは藤松さんは、堀畑施設部長と話し合い、ここ数年で働き方と役割を変えたのです。藤松さんは、65歳定年後も働くことを希望し、2023.83460代後半から働き方を変える
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