エルダー2023年8月号
37/68

働きやすい職場づくりを継続(取材・増山美智子)※  今号の「マンガで学ぶ高齢者雇用」(24ページ〜)でご紹介していますそれまでと同じようにシフト勤務で夜勤も行っていましたが、「67歳くらいから身体のことを考えて、夜勤を減らしてもらい、71歳からは日勤のみになりました。役割も、いまは掃除や洗濯、時間があれば入居者との会話など、後方で支援する業務に変わりました」と話します。現在の勤務は、週5日、9時から16時までの1日6時時間勤務です。夜勤は67歳以降、月4回から3回、2回と徐々に減らしてきました。また、介護職員は担当する入居者を決めて仕事をしていますが、藤松さんは70歳から担当を外れることになりました。「若い職員が育っていることもありますし、日勤のみになったことにより負担が軽くなりました。希望を聞いてもらい、対応していただけたことがありがたいですし、『期待されている』ことも感じており、いまも自分にできる仕事があることがうれしいです。年齢に合った働き方ができていると思います」と藤松さん。ふり返ると、義母を介護した際に、介護の仕事をしていた同級生の姿を見て感化され、この道を志したそうです。「この仕事が好きで、天職だと思っています。入居者の方の笑顔が何よりうれしいですね。私にはとても働きやすい職場です。毎月研修があり、私もまだまだ勉強しています。仕事をしている以上はこれからも学び続けたい」と、この仕事に対する思いを話してくれました。現在は仕事以外に、地域の民生委員の活動も行っている藤松さん。元気の秘訣は、「ウォーキング」とのこと。「健康に恵まれていることに感謝し、元気なうちは、ここで仕事を続けていきたいと思っています」(藤松さん)堀畑施設部長は藤松さんについて、「現場職員からの信頼も厚く、元気で体力もあります。ただ、年齢を考慮し、本人とよく話し合って無理のない働き方へと変更を行ってきました。現在は若い職員を直接指導することはないのですが、指導者をサポートする役割をになってくれています。これからも長く働いてほしいです」と期待しています。話合いでは、藤松さんから「どう働きたいのか」を聞き、できるだけ希望にそった働き方を具体的に提案しました。どちらかが一方的に話すのではなく、すり合わせをして、互いの納得に結びつけていったとふり返ります。桜花会が大事にしている職員への取組みの一つに、「年齢にかかわらず、学ぶ機会をつくること」があります。そこで野口プランナーは、今後の研修として、JEEDの「就業意識向上研修」※を提案しました。中高年の従業員や職場管理者を対象とした研修で、例えば、高齢期の仕事やライフスタイル、マネープランを考える機会をつくるなど、研修内容や時間は事業所のニーズに合わせて企画できるものです。堀畑施設部長は、ライフスタイルを考える研修はまだ行ったことがないとのことで、提案を熱心に聞いていました。最後に、堀畑施設部長は今後の桜花会の取組みについて次のように語りました。「社会から求められるものはより大きくなっていく一方で、働き手は減っていく現実をとらえ、ロボット導入などにも対応しつつ、何よりもまず、職員を大事にして、今後も働きやすい環境づくりに取り組んでいきます」施設の入居者と明るい表情で話をする藤松涼子さん35エルダー

元のページ  ../index.html#37

このブックを見る