役割と貢献度に応じた賃金バラン図表3の下表でⅠ準)の5段階で評価し、範囲給を対応する五つの「ゾーン」に分けています。各人の基本給は、原則として範囲給のゾーンのどこかに位置づけられます※3。I等級のスタート金額は高卒初任給(通勤手当、固定時間外手当などを除く基本給部分)を想定した17万円とし、上限額を28万1000円としました。バンドのなかを、下からD、C、B、A、Sという五つのゾーンに分け、それぞれの上限額を決めています。各等級の上限・下限額と各ゾーンの金額は任意に設定できます。この例では、仕組みをシンプルにするため、図のように等級が上がる都度ゾーン別の金額を階段状に二つずつ増やし、各等級のゾーンが重複する「2段階一致」の設定にしています。今後は構造的な絶対的人手不足が続くことを考えると、これまでの抑制的な賃金ポリシーから脱却し、生産性の裏づけに基づく競争力のある賃金水準を設定する必要があります。一般的には、下位等級では生活給としての必要水準や仕事の習熟を考慮した世間相場を参照し、上位等級では管理職の基本給部分(管理職手当や役職手当などを除く)の世間相場を参照し、それぞれ貢献度の違いによるメリハリの利いた賃金待遇が行える上下幅を設定します。どの等級のどのゾーンに自社の社員がいるのかについても個別にチェックし、他社と比べた採用競争力や、社員が将来に励みが持てる目標賃金を設定する必要があります。4昇給はス、を図実表現2すのる( 「段階接近法■」600円〜Ⅴ等級4900円のように、等級別に「昇給単位」(昇給ピッチともいいます)の金額を決めておきます。昇給単位は、従業員の定着と能力開発を重視する低い等級では細かいピッチとし、賃金水準の高い上位等級はピッチを大きくして昇給額のメリハリをつけるよう工夫します。毎年の昇給は、各等級の昇給単位に、図表3の賃金ゾーン位置と評価との組みあわせによる「昇給倍率」を掛け算して決定します。等級の昇給単位1600円を例にとると、一番賃金の低いDゾーン(図表2の基本給19万円未満)では、S評価の5倍8000円からD評)に表示したⅠ等級1価の1倍1600円まで昇給額に差がつきます。同じ評価で比較すると、低いゾーンでは昇給額は大きく、ゾーンが高くなるにしたがい昇給額は小さくなり、評価に対応するゾーンの上限に達したら昇給しなくなります。ゾーンより評価が低いときは昇給ゼロまたはマイナス昇給になります。このような昇給ルールの運用を毎年続けると、徐々に各人の役割と貢献度にふさわしい基本給の水準へと段階的に接近し、いずれはその上限額に収れんします(段階接近法昇給単位は会社業績や世間の賃上げ動向を配慮して、任意に変えられます。■)。0+1+2+3+401,6003,20001,6003,2004,80002,1004,20002,1004,2006,300(注)1.上限額(各ゾーンのちょうど境目の金額)では上位ゾーンの昇給倍率を適用する例:Aゾーンの上限額(図表2参照)でA評価、Bゾーンの上限額(同)でB評価はそれぞれ昇給ゼロとする2. A評価はAゾーンの上限、B評価はBゾーンの上限を超えないように昇給額を調整する●昇給額の計算(昇給単位×昇給倍率=昇給額)(注)『段階接近法■』は株式会社プライムコンサルタントの登録商標です©株式会社プライムコンサルタント 禁無断転載※3 例外的に下限額に届かない場合は「E」、上限額を超えた場合は「S+」とゾーンを表記します。個々の社員が「どのゾーンにいて」、「どんな貢献度の評価をとるか」で、昇給、昇給停止、マイナス昇給を行い、この範囲給一本で基本給(役割給)を決めます。ほかの「職能給」や「年齢給」、「勤続給」などの併存型の基本給項目は使いません図表3 役割給のゾーン別・評価別昇給ルール●昇給倍率の基準(段階接近法■)B評価-10+1+2+3賃金↓SゾーンAゾーンBゾーンCゾーンDゾーンS評価+1+2+3+4+5S評価1,6003,2004,8006,4008,000Ⅰ 等級の昇給単位1600円賃金↓A評価0Sゾーン1,600AゾーンBゾーン3,2004,800CゾーンDゾーン6,400Ⅱ 等級の昇給単位2100円賃金↓S評価A評価2,1000Sゾーン4,2002,100Aゾーン4,2006,300Bゾーン6,300Cゾーン8,400Dゾーン10,5008,400C評価-2-10+1+2A評価C評価B評価D評価-1,600-3,200-4,800-1,600-3,200-1,60001,600C評価D評価-3-2-10+1D評価B評価-2,100-4,200-6,300-2,100-4,200-2,10002,1002023.840
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