ウ これまでの経験・知識・能力を活用で均衡待遇に配慮した再雇用賃金の昇給単位の金額を小さくすると会社全体の昇給額・率が減り、逆に昇給単位の金額を大きくすると全体の昇給額・率が増えます※4。5定年再決雇め用方者(に賃つ金いて換は算、表正方社式員)の役割給に準拠しつつ、定年後の新たな職務内容に応じた役割等級と働き方の制約に応じて、定年前の基本給に図表4の賃金支給率(%)を掛け算して再雇用賃金の基本給部分を算定します。参考までに、定年前の基本給がⅣ等級係長・職長クラス35万円の従業員Xさんに対して、再雇用の支給率をあてはめた計算例を下段に示しました。例えば再雇用後、Ⅲ等級の類似業務に転換する場合の賃金支給率は80%で、35万円×パートタイム・有期雇用労働法第8条に規定された「均衡待遇」の判断基準に沿って、定年再雇用者の賃金を減額できる理由を整理すると、①職務内容の軽減による減額、②働き方や人材活用の制約に基づく減額、③そもそも定年まで勤務し退職後に再雇用された者であるという「その他の事情」として判示された減額に分けられます。この賃金換算表の縦軸①は、定年後の職務内容(業務の内容および業務にともなう責任の程度)を確認したうえで、「職務変更にともなう減額率」の基準ア〜エにより、定年前の賃金に対する賃金の減額率(0%〜-20%)を判定します。次に横軸②は、定年後の働き方や人材活用の制約(職務内容および配置の変更の範囲など)に応じて、「賃率」を調整する判断基準を示します。定年後も正社員のまま同じ仕事を継続し、職務内容も働き方もまったく変わらない勤務延長の賃率は100%(正社員と同一待遇)です。定年再雇用者については、ジョブ型賃金の世間相場に準拠するという賃金待遇の方針に基づき、定年前と基本的に職務内容も働き方も変わらない場合の賃率を90%に設定しました(さまざまな事情を考慮し設定)。このあたりの判断は会社の賃金水準や、定年再雇用者の人材活用方針による裁量の範囲でしょうが、会社の賃金水準がそれほど高くない場合は、勤務延長と同じ賃率100%も検討すべきかと思います。換算表の縦軸の減額率と横軸の賃率をあわせた再雇用の賃金支給率は最高90%〜最低60%となり、この例では、定年前の賃金35万円に対して最高31万5000円〜最低21万円という再雇用賃金となります。次回は、正社員の役割給の賃金表を準用し、契約更改の都度、本人の役割(例えばⅢ等級)に対する実績評価や働き方の見直しを行って、新たな再雇用賃金を提示するジョブ型賃金の運用方法について事例を交えて解説します。職種転換職務内容(業務の内容および業務にともなう責任の程度)ア 変わらないA同じ仕事を継続イ 一部業務を軽減・免除するが基本は変わらないB 類似業務に転換・業務軽減きるやや軽易な業務を担当する場合C異質な職種に転換エ これまでのキャリアとは無関係で職務内容も異質な軽易業務に転換する場合※4 範囲給の上限額の設定によっても従業員の昇給率は大きく変わります。わかりやすくいえば、会社の平均基本給に比べて、標準的なB評価の上限額(図表2参照)を高めに設定すれば、全体の昇給率は増加します。逆に平均基本給にB評価の上限額を近づけると、全体の昇給率は大幅に抑制されます↓役割等級等級変更なし等級変更なし1等級降格当該等級を↓ 職務変更に勤務延長(参考)ともなう減額率 まったく変わらない 賃率→(100%)100%350,000適用0%95%-5%332,500-10%-20%315,000297,50085%80%297,500280,00080%75%280,000262,50070%65%245,000227,500ⅲ働き方や人材活用が大きく制約される(80%)80%280,00075%262,50070%245,00060%210,000例:定年前賃金350,000円(Ⅳ等級係長・職長クラス)の場合①職務内容の変化②働き方や人材活用の制約(職務内容および配置の変更の範囲など)定年再雇用ⅰ再雇用という事情ⅱ働き方や人材活用が若干限定される以外は基本的に変わらない(90%)90%(85%)85%(注)①の職務内容の変化に対応する「減額率」を、②の働き方や人材活用の制約に対応した賃率と合計し、個別の賃金支給率を決定する。(賃金支給率=減額率+賃率)©株式会社プライムコンサルタント 禁無断転載シニア社員のためのシニア社員のための41エルダー図表4 定年再雇用の賃金換算表の例「「ジョブ型ジョブ型」」賃金制度賃金制度ののつくり方つくり方80%=28万円が再雇用の基本給となります。
元のページ ../index.html#43