労働者に求められる金融リテラシー会社は教育の機会の提供をただし、高齢従業員が増えるということは、3 退職金の債務も増えますし、リスクも高まります。例えば会社がお金を借りたいとき、負債が増えると財務的には見かけ上悪くなります。また、融資を受ける際に「財務制限条項」をつける場合があります。これは、お金を借りている間に売上げが低下したり、負債比率が一定の割合に達したら契約不履行とみなされ、すぐにすべての融資額の返済を迫られるというものですが、財務制限条項がついた借入れをしている場合、定年年齢が延びることで資金調達リスクが高まる要因にもなります。石田 が、以前のように自分の資産を会社や他人に預けておけば大丈夫という時代ではありません。自分の資産の運用状況をしっかりと自己責任で運用することになりますウォッチし、自分で守ることが大事だと思います。かつての〝終身雇用があたり前、個人の成果があまり問われることなく、全員が等しく給与が上がり、手厚い退職金をもらえる〟という時代からいまは大きく変化しています。日本では人前でお金の話をするのは品がよろしくないという風潮がありますが、お金や資産は自分自身で守らないとだれも守ってくれません。そのためには金融リテラシーを持つことが重要です。2010年に日本航空(JAL)が倒産しましたが、まさか倒産するとはだれも想像していませんでした。個人株主が多く、株価がどんどん下がり、100円を割っても、絶対に倒産しないと信じていた株主も多かったのです。しかし常識的には株価がそこまで下がったら回復の見込みはなく、債務不履行になるのはもはや時間の問題でした。信じたい気持ちはわかりますが、ビジネスとはそういうものではありません。―DBからDCへの移行はまさに財務リスクを回避するためということですね。そうなると労働者自ら退職年金を守るために運用することが求められます。―DCなど自ら運用する場合に留意すべき石田×在籍年数×係数を計算し、次に係長になったら係長の月給×在籍年数×係数を計算するといった具合に、全部足し合わせて役職が変わるごとに積み立てていくことになります。一般的に、定年が60歳でその後は再雇用などの嘱託社員であれば、退職金の積立は発生しませんし、それで終わりとなります。しかし、定年が65歳になると、60歳前と同じように月給×在籍年数×係数を計算し、積み上げていくことになります。エルダー60歳定年の場合、一般的な計算は月給
元のページ ../index.html#5