企業外のさまざまな要因からら影響を受ける。特に重要な要因が三つあり、一つは、労働市場からの影響である。二つは、社外の労使関係である。毎年の春闘で決まる賃上げ率は基本給の決まり方(人件費総額)に大きな影響を与える。三つは、労働関係の法律や政府の政策であり、それによって人事管理の基本的な枠組みが規制されている。例えば、法律によって、採用管理では募集や労働の契約の仕方、労働条件では労働時間の長さや制度の仕組み、退職管理については、定年年齢や解雇の仕方にかかわる基本ルールが決められている。特に、個々の労働者と使用者との雇用関係を規制し、労働者が働くうえでの条件の最低基準を設定している高年齢者雇用安定法による定年年齢の規制の変更は、退職管理だけでなく、人事管理のあり方に大きな影響を及ぼしてきた。2020(令和2)年の高年齢者雇用安定法の改正により、65歳までの雇用確保義務に加えて、個々の労働者の多様な特性やニーズをふまえ、65歳から70歳までの就業機会の確保のための多様な選択肢を法制度上整え、事業主としていずれかの高年齢者就業確保措置を講じる努力義務が課されることになった。具体的には、①制度の導入、③定年廃止、労使で同意したうえでの雇用以外の措置(④継続的に業務委託契約する制度、⑤社会貢献活動に継続的に従事できる制度)の導入のいずれかがあげられる。こうした高年齢者雇用安定法の改正および若年労働力の減少などによる労働市場の需給状況の変化により、60歳代後半層の活用(雇用)がクローズアップされてきた。ここでは、企業を対象にしたアンケート結果の分析(詳細については執筆者が参加した(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)(2023)『高齢期の人事戦略と人事管理の実態〜60歳代後半層の雇用状況と法改正への対応』※を参照)を通して、第1に、60歳代後半層の雇用状況と雇用している企業の特徴、第2に、定年制の状況に注目して、「定年64歳以下&継続雇用65歳以下の企業」に限定して、60歳代後半層を雇用しているのはどのような企業か、最後に、60歳代後半層が活躍するには、どのような人事管理が整備される必要があるのか、を紹介する。2自社雇内用でし雇て用すいるる「企65業歳の以特降徴の社員(59歳以前に「正社員」として雇用していた者)」が在籍する(「いる」)企業は74・7%である。雇用している企業における人数の平均値は23・1人、※ https://www.jeed.go.jp/elderly/research/report/document/copy_of_seriese6.html全社員数に占める「65歳以降の社員」の割合は平均すると5・1%になる。また、「65歳以降の社員」を雇用していない企業を含めて「65歳以降の社員」の人数を計算(雇用していない企業の人数を「0」人として計算)すると、その平均値は17・1人になり、全社員数に占める「65歳以降の社員」の割合は平均すると3・7%になる。全社員数に占める「60歳代前半層の社員(59歳以前に「正社員」として雇用していた者)」の割合の平均値が6・3%であり、「60歳以降の社員(59歳以前に「正社員」として雇用していた者)」は全社員の約1割を占める大きな社員集団であることがわかる。栄一60歳代後半層の雇用状況と65歳以降の社員を雇用している企業の業種は2023.850特別寄稿1企業影の響人を事受管理けはる企人業事外管の理さまざまな要因か70歳までの定年引上げ、②70歳までの継続雇用玉玉川川大大学学経経営営学学部部教教教授授授大大大大木木木木6060歳歳代代後後半半層層のの活活用用とと人人事事管管理理のの整整備備
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