高年齢労働者のための転倒・転落事故防止マニュアル定年英語高齢労働者の増加にともない、60歳以上の労働災害による死傷者数が増えている。労働災害の発生原因は、転倒がもっとも多く、次いで墜落・転落となっており、年代別に比較すると、いずれも高齢になるほど増加傾向にある。また、小売業や社会福祉施設など、これまで労働災害の比較的少なかった業種や職場で件数の上昇がみられることが、最近の労働災害の特徴となっているという。本書は、これらの状況をふまえ、超高齢社会の日本の労働現場で解決すべき喫緊の課題として、医師、研究者、弁護士、理学療法士らが多様な視点から転倒・転落事故防止について分析し、解説。労働災害の転倒の最大要因である「滑り」の防止対策をはじめ、転倒リスクを高める疾患、薬剤、身体機能、職場の環境などあらゆる角度から事故を防ぐための対応を考察するとともに、事業者や労働者の意識を高める周知啓発の手法なども含めて説明している。業種別事故を減らすための取組み好事例として、小売・飲食業、社会福祉施設などの職場における12の取組みの工夫点と成果、ポイントも紹介している。職場の安全衛生担当者の手引書として活用することをおすすめしたい。英語が話せなかったサラリーマンがなぜ定年後に同時通訳者になれたのか本書の著者の田代真一郎氏は、1950(昭和25)年生まれ。大学卒業後、定年まで自動車会社に勤めるサラリーマンのエンジニアだった。英語の素養があったわけではないが、60歳定年後のいま、フリーランスの通訳者、翻訳者として活躍している。同時通訳までこなすほどの実力に、リピートの仕事や指名も入るという。どうして、そのような転身を果たすことができたのか。本書には、その経緯と田代氏に英語力が身についた合理的な理由、有効な英語学習方法が綴られている。きっかけは、50歳のとき、勤務先が海外メーカーの傘下に入り、仕事で英語を使用せざるを得ない状況に。やむなくではあったが、「仕事こそが英語を身につける最高の機会だった」と田代氏。「目の前の懸案についてどう話すのか、仕事のニーズがあるからこそ学び、学んだことをくり返し使うから力がついた」という。「それまでに得た仕事の知識や経験が役立った」、とも明かす。変化が訪れる人は多いだろう。田代氏の学習方法を参考にして、それまでにつちかった知識や経験を活かし、英語を学んでみるのもおもしろそうだ。新たな可能性が広がるかもしれない。日本転倒予防学会 監修/新興医学出版社/4840円田代真一郎 著 /ディスカヴァー・トゥエンティワン/1210円2023.85650代になると、会社での役割や立場、環境に※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します多様な視点とデータ、事例から、労働災害防止対策を解説仕事や興味の対象をうまく使う、有効な英語学習方法を披露
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