エルダー2023年8月号
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介護離職の構造過疎の山里にいる普通なのに普通じゃないすごい90代健康寿命をのばす食べ物の科学著者は東京の都会暮らしに限界を感じ、田舎に移住した編集者・ライター。その日々の田舎暮らしのなかで、そこに暮らす人々との接点が増えていくうちにわかったことがあった。田舎ゆえの閉鎖的なところもあるが、活き活きとして、元気に暮らしている魅力的なお年寄りが多いこと。過疎高齢化で出会う方たちはお年寄りばかり、90代でもまだまだ現役で仕事をし、自立して暮らしているということ。本書は、その90代の方たちの日々の暮らしの話や人生話を紹介している。そこからは、どこにでもいる普通のおじいちゃん、おばあちゃんに見えるが、なかなか普通ではない、すごい暮らしぶりが見えてくる。暮らし方はそれぞれであるが、みな元気である。その健康長寿の秘訣は「会話を楽しむ」、「ささいなことを苦にしない」、「人の役に立とうとする」など多くあるが、著者は「日々するべき仕事がある」と「特別な運動はしなくても、暮らしそのもの、家事のなかに動きがある」が大きなポイントだとする。れ、目的をもって日々、体を使って動くことが大切であることを教えてくれる一冊である。「健康寿命を少しでものばしたい」、そう願う人は多いだろう。そのために必要な取組みが国や自治体をはじめさまざまなところで行われており、生活習慣病の予防や適度な運動が欠かせないといった情報もしばしば見聞きする。そうしたなかにあって本書は、食品生化学の第一人者である著者が、最新のデータと科学的エビデンスをもとに、健康に長生きするための食事と生活習慣のコツをわかりやすく解説。毎日なにを食べればよいのか、食生活を自己管理できる基礎となる知識が得られる内容だ。本文には、生活習慣病が増えた理由、脂質摂取過剰の危険性、コレステロールに関する知っておきたい知識や、「畑の肉」といわれる大豆が健康寿命を延ばす食べ物として注目される化学的な根拠を明らかにする。また、筋量や筋力の維持を助けてくれる食品など、どの食べ物が健康にどう影響するのかを説き、老化を遅らせる食習慣・食品をアドバイス。登場するのは、納豆や玄米、ナッツ類といった身近な食品で、ふだんの食事にすぐにとり入れることが可能なものだ。高齢になり食が細くなってからは、機能性食品成分を含む食品やサプリメントを活用することも助けになるなどアドバイスも満載。育児・介護休業法と両立支援ニーズ(独)労働政策研究・研修機構のプロジェクト研究のなかから、一般でも関心が高いと思われるテーマを取り上げて刊行するシリーズの第四巻。介護離職をめぐる問題を取り上げている。周知の通り、政府は、家族介護による離職(=介護離職)を社会保障と経済対策の双方にかかわる重要な問題と位置づけ、「介護離職ゼロ」に向けて総合的な対策に取り組んでいる。高齢者雇用の推進という観点からも、介護離職防止に資する取組みは重要だといえる。本書は、「介護に取り組む家族が介護休業・介護休暇を取得しやすい職場環境の整備」を中心に、介護離職を取り巻く諸課題を取り上げた研究書。育児・介護休業法改正によって両立支援制度は整備されたが、労働者が必要とする両立支援策は多様で、さらなる制度の拡充が求められている。こうした前提に立ち、本書では介護離職の背景にあるさまざまな課題に目を向けつつ、多様な現実に対応するために求められる両立支援策の整備について言及している。家族の介護は予告なく労働者に降りかかるケースが多い。労働者にとって、潜在的なリスクといえるだろう。介護離職がもたらすリスクの回避を考えたい担当者に一読をおすすめしたい。労働政策研究・研修機構/佐藤隆一郎 著/池田心■■豪■■ 著/独立行政法人3300円池谷啓 著/すばる舎/1540円筑摩書房/946円90代の方たちの暮らしからは、どんな形であ57エルダー元気な90代からわかった、人生100年時代の鍵となる暮らし方科学的エビデンスをもとにした、健康長寿のための食事と生活習慣介護離職の課題解決に向けた道筋を多面的に検討

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