エルダー2023年8月号
65/68

社内の技能競技大会を通じて数多くの後進を育成https://wwwn.ipponsteecoml.日本製鉄株式会社東日本製鉄所君津地区TEL:0439−50−2013(撮影・福田栄夫/取材・増田忠英)のコイルの焼損だ。従来はインダクタ設備全体を取り替えていたが、その場合、中の亜鉛を取り出す必要があり、工期が11日程度かかっていた。そこで田村さんは、周囲の協力を得て、コイルのみを取り替える方法を開発。この方法では亜鉛を冷やさずにすむため、工期を2日間に短縮することができた。さらに、コイルの焼損を防ぐため、冷却水の流量計の最新化や、コイルの温度を監視する装置の設置、さらにコイルに電流が流れていない場合の警報の二重化など、監視機能の改善を行った。これらの効果が認められ、同様の機能はほかのラインにも導入されている。「若いころは、準備がうまくできずに計画通りにいかなかったり、設備を壊したこともありました。それでも、﹃あきらめずにがんばれ﹄という先輩の言葉を糧に、ここまでがんばってきました」そう話す田村さん自身も、後進の育成に大きな役割を果たしてきた。電気計装整備業務にたずさわる若手の技術・技能向上のために、2019(令和元)年まで全社で開催されてきた「電計技能競技大会」では、君津地区の代表選手の指導をにない、毎年君津地区の選手が3位以内に入る実績を残した。てからは、若手の育成にさらに力を注いでいる。「一人ひとり個性があって、覚えの早い人もいれば、覚えるのは遅くても一度覚えたら忘れない人もいます。固定観念にとらわれず、臨機応変にていねいに教えることを心がけています」こうして、現場固有の技能は次の世代へ脈々と受け継がれていく。 vol.330鉄鉱石から鉄をつくる高炉。君津地区では高さ125mの巨大高炉が2基稼働している「こういう場合は、回路をこう組んだ方がいい」とわかりやすくていねいにアドバイス制御盤の組立やプログラムの改造などの教育実習を行う電気室。電計技能競技大会の練習もここで行われたテスター、ニッパー、検電器など、現場で常に持ち歩く道具類溶融めっきライン。見えない下部に炉やインダクタがある(写真提供:日本製鉄株式会社)63エルダー60歳で定年退職し再雇用となっ

元のページ  ../index.html#65

このブックを見る